2か月後の再発
1か月自宅療養をして学校へ戻った。今まで通りスポーツもして、元の生活を送っていたと思っていたけれど・・・
ぴったりと計ったかのように・・・2か月後。
その日は残業で残っていた。
いつもは、仕事が終わる時間に一度携帯を確認していたのに、その日に限って確認せずそのまま仕事を続けた。
18時30分に携帯を確認。寮母さんから17時半過ぎにメールが入っていた。
「夕方に息子さんから連絡があり、合鍵で部屋に入りました。動けなくなっていたので、救急車を呼びました。運ぶ病院が決まったらまたメールします。」
一瞬、寮母さんへ電話しようと思ったけれど、たぶん、救急車に一緒に乗っていたら電話には出られないだろう・・・
「今すぐそちらへ向かいます。車で向かいます。遅くても5時間後には到着します。病院がわかり次第お知らせください。」そうメールを送信した。
すぐに上司へ電話し、息子が救急搬送された、今すぐ息子のところへ行くので休ませて欲しい、状況がわかり次第また連絡しますと伝えた。
いつ連絡が来てもいいように、車には私のお泊り&息子の入院セットバッグを入れてあった。職場からそのまま車で向かうこともできたが、入院したら私がお風呂に入る時間がとれないかも・・・急いで自宅へ戻り、シャワーを浴びてから向かった。
ずっと後悔が止まらない
携帯をなぜ確認しなかった?いつもしていたのに。私のバカ!
1か月の自宅療養では短かったか・・・もっと休ませればよかったか・・・
具合悪いのに、言えずに学校に戻ったのか・・・私が休めと言わなかったからか・・・あとからあとからどんどん出てきた。
そして、同時にものすごく焦る気持ちが湧き出る。
早く息子の元に行きたい。行かなくちゃ。私を待ってるはず。
「無事に到着しよう。焦らずに行こう。安全運転で行こう。私落ち着け。」
何度も口に出して焦る気持ちを抑えた。高速に乗ったら、制限速度を守るトラックの後ろについて行った。夜の高速道路はトラックが多い。とてもありがたいと思いながら走った。
「待っててね。そばに行くからね。それまでがんばるんだよ。」
息子に向かって伝えながら、
「おじいちゃん、おばあちゃん私がそばに行くまであの子のそばで見守っててください。あの子の命を守ってください。」
祖父母にも伝えながら運転した。
メールの着信音がしたら、サービスエリアへ寄ってメールを確認。
「息子さんは意識があります。自分で前に同じような症状が起きた、前と同じだと思うと救急隊員へ伝えていました。でも、首から下が動かないので、違うと思うよと言われていました。前に入院した〇〇病院へ隊員が連絡をして、前より症状が悪くなっているので、さらに大きな病院へ運ぶよう言われて、今連絡をしています。」
「〇□▽病院へ運ばれました。入院になります。脳出血か梗塞だろうと。検査をしています。ゆっくり来てください。看護師さんへお母さんは車でこちらへ向かっているので夜中の到着と伝えてあります。」
首から下が動かない・・・脳出血・・・脳梗塞・・・
これを読んだ時の衝撃は覚えていない。かなり驚いたはず。
でも、私は覚えていない。
無事故で息子のところへ行く。
祈る。
この2つだけを思ってナビを〇□▽病院を目的地とセットして、走る。
あと300キロ・・・280キロ・・・100キロとゼロにすこしずつ近づいている。
数字が減っているので、確実に近くに来ている実感があった。
ゆっくり走るんだよ。落ち着いて。何度も自分に言い聞かせた。
メールの着信音。サービスエリアに入る。
「頭を調べて脳出血も脳梗塞もないと言われました。意識はあります。でも首から下が動かないままです。21時までそばにいました。息子さんが大丈夫と言うので、寮へ戻ります。気をつけて来てください。」
感謝の文面を送信して、また走る。
脳出血じゃない。少しだけホッとした。ほんの少しだけ。
真っ暗な空だけど、明るい道路の中、目の前のトラックにひたすらついていく。
大丈夫。大丈夫。明るい光だけ見ればいい。
空を見るのが好きだけど、暗いものを見るのがいけないことのように感じた。
勝手にルールを作って、明るい光を見れば大丈夫と言い聞かせた。
高速を降りた。
意識してさらにゆっくり運転した。
気持ちはものすごく前に行きたいし、アクセルを思い切り踏みたいけれど
その気持ちと反対になるように ゆっくり! と声に出した。
病院まではゆっくりと無事故で行く!
夜中だから、ほとんど車がいない。心細いけれど・・・自分でどこかに突っ込まない限り事故にならないから。よかったね!なんて独り言も言った。
大きな病院が見えてきたときの安心感。
真っ暗だからこそ、病院だとわかる目立つ建物に向かっていく。
着いた。無事故で着いた。まずはそれに感謝した。
「お母さん来たよ。今から行くからね。」
1時半過ぎ。夜間出入口から入り、息子が入院した病棟へ向かった。
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