第34話 エピローグ
数ヶ月ぶりにアリア王国王都に帰ってきたジンとメル。
「はぁーーーー! 帰ってきたー!」
「帰ってきたなぁ」
ギルドに報告へ向かう事にした。
ギルドに入ると
「おぉー! ジンとメルじゃねぇか! 帰ってきたのか!」
そこに居たのはザックであった。
「あぁ。全部の国の悪魔を退けて戻ってきたが、気になることもあるから先に報告に来たんだ」
「そうか! 流石だな! ジンとメル!」
受付に行く。
「マリーさん、ただいま戻りました。」
「ただいまー!」
「ジンさん、メルさん、良くぞご無事で。おかえりなさい!」
「早速報告するな」
マリーに建物の被害はあるものの、人の被害が極端に少なかったこと、悪魔は少し戦うと逃げてしまうことを報告した。
「なるほど。ちょっとギルドマスターにも伝えてきます!」
マリーが奥に消えていく。
数分するとギルドマスターが出てきた。
「ご苦労だったね」
「いえ、それで、最後の悪魔なんですが魔王の目的は世界平和だって言うんですよ」
「各国を襲っておいてかい? 不思議な話だね」
「そうですよね。矛盾してるんですよね」
「ん~。会って話せれば良いんだけどねぇ」
「会ってきてみましょうか?」
「えっ!? 会えるの?」
「悪魔達の逃げていく時の魔法陣は覚えてるので、同じのを展開すれば逃げた先に行けます」
「敵の本拠地だぞ? 危険すぎる!」
「えぇ。でも、誰かか行かないと行けない。なら、俺が行ってきます」
「本気か?」
「はい」
「じゃあ、任せた」
「直ぐに戻りますよ」
受付を離れようとするジンとメル。
「ああ! そうだ! 各国から同盟の話が来てな、世界同盟ができそうだぞ。戦争もなくなるな」
「そうですか。それは、何よりです」
頭になにか引っかかるが、そのまま受付を後にする。
ギルドの外に出ると
「魔法陣を展開して行くが、メルは残るか?」
「何を今更!」
「すまん。じゃあ、行くか」
ブーン
ジンとメルの足元に悪魔が展開した魔法陣と同じものが展開される。
――
気がつくと、どこかの部屋のようだ。
部屋の外に出てみる。
「なっ!? お前らなんでいるんだ?」
そこには、つい最近戦ったばかりのルシフがいた。
構えるジンとメル。
攻撃してくるか!?と思ったその時。
「まぁ、待て」
両手を上げて降参のポーズをしている。
「着いて来い」
大きな扉の前に来た。
コンコンッ
「誰だ?」
「ルシフです。我らを退けたものが何故か建物内にいたため、お連れしました」
「そうか。入れ」
ガチャ
そこには、机に座っている精悍な顔をした悪魔がいた。
「君達が、各国を回って人々を助けていたのかい?」
「そうだ。あんた達が襲っていたんだろ。でも、人の被害はほぼなかった。何を考えている?」
「我々は、世界が平和になるためには何をすればいいかを考えていた。今の世界は各国とも小競り合いの戦争ばかりで、無駄な犠牲者を生むばかり……」
「自分達がした事が、世界平和に繋がると?」
「今、世界はどうなっている?」
「今はアリア王国を中心に世界同盟が組まれようとしているが……?……そういう事か」
「そう。我々を共通の敵にし、世界をひとつにしようと、そう考えたわけだ。ここはアリア王国の真反対に位置する、未開拓地とされている。我らを世界の国々は知らない。我らが悪役をする事で世界はひとつになる」
「自分達は悪者で、それでいいのか?」
「それでいい。魔物を定期的に作れば、その討伐に協力し合い、ひとつになった世界を維持できるだろう。我らは世界の影になる」
「それはそうかもしれないが……」
「いいのだ。顔も知られてしまったし。我らはこの国だけで何百年と生きてきた。問題は無い」
「……わかった。しかし、俺の信頼する人には報告させてもらうぞ?」
「あぁ、それでいい。だが、我らは悪では無いなどと知られるな? 共通の敵がいなくなれば、再び小競り合いが発生することになる」
「わかった」
「わかったなら、戻れ。何時でも遊びに来い」
「あぁ。また来るよ」
部屋を出るジンとメル。
「そんな真実があったとはねぇ」
「あぁ。不思議だとは思っていたが、そういう事だったんだな」
「少数だけが知る真実にしよう!」
「だな。王都に戻ろう」
ブーン
ジンとメルの足元に魔法陣が展開される。
――
王都に戻ったジンとメルは、ギルドに報告に向かった。
マリーとギルドマスターにだけ、真実を明かすことにした。
その話を聞いた2人は神妙な顔で秘密にする事を約束した。
その日、ジンとメルの功績を称え、数百年ぶりにSランク冒険者が誕生したのであった。
世界は平和になり、冒険者として魔物を倒したり、各国を2人でゆっくり見てみたり、そして魔国に遊びに行ってみたりと、幸せに過ごしたというお話。
この平和は魔国がある限り続くことだろう。
魔法陣無双~脳が焼ききれ転生したら最強の演算能力を得て無双する~ ゆる弥 @yuruya
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