第33話 ヨーグ国の強敵

「あらら、負けちゃった。折角遊んでたのに……


悪魔が魔物を引き連れて現れた。


「次はコイツで遊ぶか。おい、行け」


『クルルルルァァ』


悪魔の前に現れたのはグリフォンであった。


翼を広げながら突進してくる。


「メル! 散るぞ!」

「うん!」


転がるように避ける2人。


『クルァァ』


上空に飛んでいくグリフォンは勢いをつけて急降下してくる。


(くっ! 速い! シールド!)


ズドンッ


シールドの魔法陣で何とか受け流す。

また空へ上っていくグリフォン。


「ホーリーレイ」

「バーニングレーザー」


『クルァァ』


嘲笑うかのように旋回して魔法を避けていく。

突進を繰り返してくるグリフォン。

ジンとメルは回避に専念し、攻撃にうつれないでいた。


「ふぅ。まだ扱いきれないかもしれないが、やるしか無さそうだ」


ジンが深呼吸し、魔力を高める。


「ジン! アレをやるの!?」

「やるしかない」


魔力が高まっていくジン。


「風陣雷陣」


緑の魔法陣が背中に出現し、少し小さい黄色い魔法陣が緑の魔法陣の周りを旋回している。


ボォォォォォ


風力を推進力にジンが空を飛ぶ。

グリフォンに向かって進む。


手をグリフォンにかざす。


バチィッと黄色い稲妻が黄色い魔法陣から放たれる。


『クァァ』


少しよろめいたグリフォン。

追い打ちをかけるジン。


両手をグリフォンに向ける。

両腕から青白い稲妻が走る。


バチバチバチバチ


『ク、クァァ』


天に手を向けると

黄色い魔法陣からイナズマが天に向かう。


魔力を溜め、手を振りおろす。


ズガァァァァァァン


極太の稲妻がグリフォンを襲う。


ブシューという音と共に煙を上げながら灰になっていく。


そのまま両手を悪魔へ向け、稲妻を放つ。


ズトォォォン


悪魔はサッと避ける。


「おっと、危ないねぇ。しょうがない。自分が相手するよ。楽しませてよね? 俺はルシフ。覚えておきな」


ルシフに向かって急降下して行く。

両手を引き絞り、前へ突き出す。


2本の稲妻が走る。


バチバチッ


「何回も効かないよ?」


起動を読まれ、避けられる。


すると、肉迫して来た。

接近戦を強いられるジン。


「ほらほらほら!」


道中鍛えていたジンは、何とか対応出来ている。

目に眼鏡のように魔法陣を出現させ、見えるように対策し何とか紙一重で避けている。


(接近戦苦手なんだよなぁ……そうも言ってられないけど!)


ジンは、手刀の形を作り魔力を集中する。


バチバチッ


雷の魔力が両手に溜まる。


手刀で応戦するジン。


「はっ! はっ!」


ザシュ


「はっはぁ! やるじゃねぇか!」


一旦離れるルシフ。


「ふぅ。シャァァァァァァァァ」


ムキムキと身体が大きくなっていくルシフ。


「フシゥゥゥゥ」


ルシフの身体から蒸気が上がっている。


「ウルァァァ」


ズガァァン


地面を打ち付ける拳。


「オラァァァ」


拳を打ち付けた勢いのままクルッと回って今度は蹴りを叩きつけてくる。


風力で何とか避けるジン。


だが


「マダマダァ」


ズドンッ


腹部に強烈なラリアットをくらい

吹き飛ばされる。


ズガァァァン


中心街の壁にぶつかって止まる。

戦っているうちに中心部に近づいてしまっていたようだ。


魔法陣が解除されてしまっている。


「クソッ! 強い……」


「ジン! 大丈夫? ヒーリング!」

「悪い。楽になった」

「私も加わろうか? いや、あの速さにはついていけないだろう?」

「そうだけど、抑え込めるかもよ?」

「いや……今度は属性化を使う」

「身体への負担が大きいわよ!?」

「やるしかない。大丈夫だ。何回か成功はしてる」

「うん! 信じる!」

「おう」


「ハッハァ! モウオワリカ? それとも可愛い子が遊んでくれるのかな?」

「ふざけるな。メルが出るまでもない」

「オモシレェ! コイヨ!」


もう一度魔力を高めるジン。


「面白いものを魅せてやるよ」

「アン?」


「雷化」


ブーンと現れた黄色い雷の魔法陣が身体に溶け込んでゆく。


バチッ   バチバチッ


「ふぅ。成功だ。こうなった俺は倒せねぇぞ?」


見た目は変わったようには見えないが、体の周りをバチバチと稲妻が走る。


「オラァァァ」


バチッ


ジンの身体をルシフの拳が通り過ぎ、ルシフが感電する。


「グアァァ」


ジンがクラウチングスタートの格好をしている。


「ナニヲするキだ?」


ジンが


消えた


ズバァァァン


「グアァァァァァ」


太い稲妻となってルシフを貫く。


バシュッ


天に消えるジン。


「ドコニいった?」


ピカッ


ドガァァァン バリバリバリバリ


青白い稲妻が天からルシフに降り注ぐ。


「ヌァァァァァァ」


ブシューという音を立てて蒸気が上がっている。


「クソッ。ココマデカ」


珠を叩きつけようとする。


「おい! お前達の目的は何なんだ!?」

「我らが魔王の目的は世界平和だ。じゃあな 」

「ちょっ! 待て!」


ブーン


魔法陣が発動し、悪魔が逃げてしまう。


「魔王の目的が世界平和だと? どういう事だ一体?」


メルがやってきた。


「属性化初めて見た! 凄いね!」

「属性化は属性そのままの身体になる魔法だからな。ただ、成功率がまだ3割だ」

「本番で成功したのが凄いね!」

「あぁ。良かったよ」

「これで、全部の国の悪魔を退けたよね?」

「そうだな。帰るか」

「よーっし! 帰ろー!」


四国の悪魔を退けたジンとメルは、アリア王国へ凱旋する。

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