奇談 ヒト
︽ teller∦ɹǝllǝʇ ︾
ヒト
今日は曇り。
私は最近聞いた事、自分の身の回りに起きたことに驚き、自分を落ち着けるためにキーボードを叩いた。
ネット掲示板に信じては貰えないと思いつつ悪趣味な遊びに一矢報いたくて―一矢どころか小枝にもなるかは怪しいが―無機質な文字を打ち込んでいく。
「これは最近周りで噂になっている事なんだけど、ある日家に頼んだ覚えのないダンボールが家に置かれてるの。そして、中身を見るとそれは銃と弾丸で、箱には『お悩みの解決に繋がればと思い、善意で置かせていただきました。』って書かれてるらしいの。怪しいなって思いながらもふざけた話だと聞き流していたの。そしたら次の日斜向かいの後藤さんが警察に捕まったって、なんでなのか聞いてみたら、旦那さんが浮気してて、許せなくて銃で脳天をバンだって。普通の主婦が銃なんて買えないから恐らくはあの箱なんだろうなとようやく信じたんだけれど、お隣さんいわく『トンネルにたむろする不良達が火炎放射器とライフルをもってた。』って言うの。そんな馬鹿なと思ったけれど、後藤さんや、ダンボールの話を聞くと安易に馬鹿には出来ないと思ってしまう。そうして戦々恐々とした日々をすごしているとついに私の家にも来てしまった、使ってはいけないと思ってはいても黒光りする拳銃は持つと安心し、手によく馴染む。持つだけ、持つだけと思って他の人にバレるのも嫌だから警察にも届けないでいた。そうすると『ピンポーン』インターホンが鳴った刹那、心拍が体を揺らす。『今ここで出なければ怪しまれる、しかし出るのが怖い。もし仮にあの不良だったら?警察だったら?』そう思うと恐ろしくて足がすくむ。『念の為に…打たない…威嚇用だから…』そう言って自分を納得させて拳銃片手にドアを開ける。『こんにちはー。警察の者です。この近くで怪しいダンボールや銃などみかけまs…バァーン…』やってしまった。取り返しはつかない。『バァーン…』片割れも送ってやった。恐る恐る足を動かし、バレないようにホトケを自宅に引き入れる。玄関をホースで洗う。警官は庭に埋めた。自分が犯した過ちは大きすぎる。しかしこうなればバレる訳には行かない。こんな事書いてごめんなさい。落ち着きたかったの。」ふぅ…書き込んだからか、緊張のせいか随分疲れた。しかし、空は晴れてきたから書斎も明るくなってきて気分もどことなく気持ちがいい。
「ピンポーン」「すみませーん!こんにちはー警察の者ですが…」下から嫌な声が聞こえた。「バリィーン…」私は赤い蛇口になった。
奇談 ヒト ︽ teller∦ɹǝllǝʇ ︾ @azipon
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。奇談 ヒトの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます