第4話

先輩といっしょにヨーロッパ美術館の旅に出掛けた。先輩は、出版社の編集部に就職も決まって、私は、先輩の担当雑誌にイラストを描かせてもらえることになった。

行きの飛行機の中で、先輩から「いつまでも先輩って呼ぶのじゃなくて、名前で呼んで」って言われて、「ゆい」って呼ぶことになったけど、

「ゆいさん」「ゆいちゃん」「ゆい先輩」どれがいい?ってなって、なんとなく、飛行機に乗ってる間に、ふざけて

「ゆいママ」って呼ぶようになった。ゆい、というのは、自分のお母さんと同じ名前だ。飛行機が到着する頃には、もう「ママ」と呼んでいた。


飛行機はロンドンに到着。それからホテルへ向かった。

翌日、大英博物館に向かって、「ママ」といっしょに大通りを渡ろうとしていたら、横に、イギリス人だと思われる若い女の人が赤ちゃんを抱っこしてて、いっしょに渡りながら、「ママ」と私に向かって、「ロンドンの車は激しいから、ちっちゃい子といっしょだと、おたがい、たいへんね~」って日本語で言ってたから、日本語うまっ!って思った。


数日、ロンドンに滞在して、それからパリに行った。

ルーブル美術館に「ママ」といっしょに入り、色んな絵画や彫刻をみて、そのあと、売店で日本語のカタログを買ったら、売店のフランス人だと思われる若い女の人に、「ボクもママといっしょに、今日は色んな美術、みれたかな?」って日本語で言われて、日本語うまっ!って思った。


数日、パリに滞在して、色んな美術館に行って、それからマドリッドに行った。

プラド美術館に「ママ」といっしょに入り、色んな絵画や彫刻をみて、それから、館内を歩いてたら、スペイン人だと思われる若い女の人に、「ボクもママといっしょに、スペイン来れて良かったねっ!」って日本語で話しかけられたから、日本語うまっ!って思った。


数日、マドリッドに滞在して、それからフィレンツェに行った。

ウフィツィ美術館に「ママ」といっしょに入り、「ヴィーナスの誕生」の絵画をみていたら、イタリア人だと思われる若い女の人に、「ママもボクも、この絵、好きですかあ~?」って日本語で聞かれて、日本語うまっ!って思った。「この絵も好きだけど、ママのことを描いた絵も好きだよ!これよりも、もっともっとエッチ~っ!」って答えた。


数日、フィレンツェに滞在して、それから日本に帰国した。


ママと家に帰ったら、パパとお姉ちゃんに「おかえり~!どうだった~?」って聞かれて、「面白かったよ!自分でも絵をいっぱい描いてきたよっ!今晩は日本のカレーライス食べたいっ」って言ったら、ママも「そうねっ!晩ごはんはカレーねっ!」

「やったああああ!ママのカレーは世界一」

ママのカレーライスうまっ!

ママは、ボクとの親子旅行記を、ママの会社で出している本の中で書いている。パパは、その旅行記のイラストを描いてる。

家には、ママとパパの出会った頃に描かれた2人の絵がいっぱいあって、ボクもその絵たち、めっちゃ好き。ちょっとエッチ。かなりエッチかも。でも、ボクめっちゃ好き。

ママとパパの絵うまっ!絵で色んなことを表現している。ボクも、ママとパパの絵みたいなの早く描けるようになりたい。

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パパの先輩は、ボクのママ ヤッキムン @yakkimn

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