丁寧に構築される人間模様とその心性

まず読んでみての最初の感想が、人と人とのコミュニケーションが慎重に繊細に書かれていることです。
第1話の主人公・ジュンの最期、ポートとの出会いとその後も続く関係、気難しいシエラとのやり取り、初仕事における受取拒否された手紙を巡る人々との関わり……。

決して順調に円満に人間関係が構築されていく訳ではないものの、丁寧に紡がれていく物語は、手紙の受取拒否再配達という仕事を通じて、ジュンは不器用ながらも人と人との想いを繋いでいきます。
そうしたやり取りから、受取拒否再配達に勤めるシエラの態度が軟化とまでは言わないまでも、彼女が真摯にその仕事と向き合っていることが見て取れ、物語を通じて関わる人間の心性が巧みに表現されているのが分かります。

また、「第2ステージ」と呼ばれる世界の設定も、近未来的なSF世界という感じで、通常想起される死後の世界とは異なるギャップがあり、面白いです。
特にスマートグラスの設定や、それに関係するサイボーグ化の設定は、今後のお話の根幹に関わってきそうで、ジュンがサイボーグ化したことで、物語がどのような変化を見せるのか、注目していきたいところです。

更に、あらすじにある決闘ゲーム「オーバーペイン」とは何なのか?
「第2ステージ」の真相とは?

ただ、人と人を繋ぐ優しい作品に留まらない、不穏な空気を感じさせる一作です。