分かり合う事ができない兄弟関係のエンディングは苦い。
- ★★★ Excellent!!!
才能の塊の兄と、その才能に頼るしかなかった弟の考え方と生き様の差がそれぞれのパートで語られ表現されています。
才能の活かし方がわかっていない兄、わかっているけど才能のない弟。せっかくの才能が無駄に朽ちて行く予感が、なんとも言えない悔しさを読者にもたらせます。
兄は弟を見下しわかろうともしないし、弟も憧れる気持ちを捨てきれないのか兄にわかってもらおうともしないすれ違い。お互いがあと少し歩みよれば全て解決しそうな噛みあう凹凸感があるのに、それが永遠に訪れる事のなさそうな距離感がもどかしい。
スッキリと解決するわけではないのに、どことなく「これは仕方のない事だ」と納得してしまう部分もあり、不思議な読後感。この後を引く苦味を読んで体感して欲しい作品です。