弐話-1/12の屋敷
「ねぇ!
――時は
まるで
肆谷が歩いて、その中の一つの家に向かう。そんな肆谷に泰斗がついて行く。そして向かった家の門を
「ただいま……。」
そう呟いた。
まぁ……それから
「駄目だ……って言いたいが、もうこんなに経ってるしな……。今日は帰れ、俺が送る。」
「やっ――たぁ!!」
特に勉強ができない泰斗は、完全に集中が切れており力が抜けた体を机に伏せる。
(俺に百年前の人の魂がねぇ……。)
肆谷や、本から勉強した事は。
他にも、憑き人は肆谷だけでは無い。無数にいる。他にあった、ここを含め十二軒の家は全部憑き人の家系だそう。
× × ×
――ある昔、幽霊・妖怪・化け物の
その者が亡くなってから百年後。その者は目覚めた。いや、新たな身体に変わっていた。別の
「おかえりなさい、ご主人様。」
そう、
× × ×
――(記憶が無い割に、すぐ受け入れるな……。)
泰斗を送り届ける途中、ひそかに考えていた。普通ならば、自分に憑いている魂の記憶も発現と同時に頭に入ってくる
またあの古びた駅へ着き、行きと同じ様な方法で普通の駅に行けば。
「ここで大丈夫、送ってくれてありがとう。」
「また明日行く。」
愛想の良い笑顔を肆谷に向ければ、逆にこちらは無愛想な表情で一言だけ放ち、泰斗に背を向け帰っていく。そんな肆谷を苦笑いで見送り、彼もまた肆谷がいたであろう場所から背を向け歩いて行く。
――翌日の朝七時頃。
「泰斗〜お友達よ〜。」
土曜日である為朝早くから勉強をしていた彼は、友達と言う響きに覚えが無かったものの、まさかと急いで階段を下りる。泰斗のふんわりと緑がかった白髪とは違い、薄い茶色で軽く結んでいる髪が特徴の母と玄関ですれ違うと。
「泰斗が友達なんて珍しいわねぇ〜。」
「俺もびっくりしてるよ。」
微かに嬉しそうに呟く母を横目に苦笑いを浮かべ、
「……いらっしゃい。」
虚偽 天原陽太_ひー @hi_kirehashi
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