エピローグ 経過報告

「うふふふ~、ようやく届いた~♥」


 辺境のアジトで勇者パーティーの一人であるミリアムは、書類の束を胸に抱いて踊っていた。


「あん? おい、ミリアム。届いたって、なんか注文でもしたのか~?」

「どーせ、また菓子であろう?」

「やれやれ……」


 ソファーに寝そべりながらダラダラしているフリードはじめ、アジトで寛いでいるラコンやオルガスも、あまり興味はなかったのだが、いつも以上に上機嫌なミリアムに聞いてみた。

 すると……



「うん! 帝都の探偵を雇って監視させた~、シィー君の生活に関する報告書~♥」


「「「ぶっぼ!? な、なにいいいい!?」」」



 その瞬間、フリードたちは一斉に噴き出して身を乗り出した。

 何故ならば、自分たちはシィーリアスの生活に関しては、シィーリアス本人からの手紙から知る以外なかった。

 フリードは個人的に学園長との繋がりはあるものの、ここ数日は特に話もしていなかった(※学園長が意図的に避けていた)ために、ミリアムの言葉に皆が驚いた。


「お、おまえ、そんなのいつの間に!?」

「んふふふふ~、シィーくんのお手紙だけだと分からないことも、第三者の見たままの報告で知りたいな~っと思って……えへ♪」


 まさに子離れできないというより、異常なまでの過保護ゆえの行動……なのだが……


「でかした、ミリアム!」

「その手があったか!」

「うむうむ! これでシィーに何かあれば、わらわがいつでも駆け付けられるぞ!」


 この場に居る者たちに「やりすぎ」と思う者はいなかった。

 むしろ「よくやった」とサムズアップしていた。


「のう、ミリアム~、はようシィーの生活ぶりを読むのだ! あ~、寂しい思いをしていたら、わらわが明日にでも帝国に~」

「はい~、では~、え~……ふむふむ、フェンリル退治? ふ~ん、学園で召喚獣のフェンリルが暴れてそれをシィーくんが倒したって」

「ふーん、。ま、シィーならそんなの魔法無しでも楽勝だろ。フェンリルって、あのデカい……犬だか狼だろ?」

「当たり前だ。たかが獣が俺の弟に勝てるわけがなかろう。で、問題は交友関係だ。友を作れずに寂しい思いをしていないだろうか?」


 そしてフリードたちは、現在まさに帝国で大きな話題になっているフェンリルの件を特に気にせず流し……



「既に、ヴェルティア王国のフォルト姫……帝国公爵家令嬢のクルセイナ……そして……クラスメートのジャンヌ・トレイター……三人の女生徒肉体関係があると……えっ!? ……連日フォルト姫の屋敷に泊まっていると思われ……え?!」


「「「ッッ!?」」」



 流石にそこには全員反応……いや、むしろ彼らだからこそ反応。


「ちょ、シィーが!? あ、あいつ、入学してまだ間もないのに!?」

「なんという……」

「ふぎゃーーー! わらわのシィーが小娘に寝取られたぁ!?」

「いやーーーー! シィーくんが、シィーくんが悪い女の子に騙されてる!」


 混乱し、驚愕し、頭を抱えて叫び、そして……



「ぬ~~~、我慢できん! シィーよ、いま、わらわが行くぞー! シィーのややこを先に産むのはわらわじゃーー!」


「シィーくんは私のお婿さんなんだから、よその子にはあげないんだからー!」



 四人のうちの二人は何も持たずにそのままアジトを飛び出して走り出す。



「ちょ、お、お前らー! ま、待て、まずは俺から学園長に……って、マジで行っちまった!?」


「無理もない……ヨシ、俺が二人を連れ戻しに……」


「とか言って、ラコン! オメーもシィーリアスに会いに行くつもりだろ!」


「………ナンノコトダカワカラナイ」


「ったく……俺だって会いてーのを我慢してるのに……」



 シィーリアスを愛しすぎるが故の勇者フリード一味の反応。

 そんな中、フリードはミリアムが投げ捨てた報告書を拾い上げ、続きを……



「ン? 『帝国貴族のセブンライトとも友人になり、次の休みには皆で集まって』……ふーん……ほほう、クラス委員長に……クラス委員長!? あいつが!?」


「なに?」


「小テスト……0点……しかし、勉強に対する意欲はあり、友からも勉強を教わって……へぇ~……」



 交友関係一つで全員揃って驚愕したものの、それ以外の項目を読み上げていくうちに、フリードも徐々に笑みを浮かべ始めた。



「なんだか、女作って、エロいことして、気の合う男のダチとも仲良くなって……勉強して……学校行事にも関わって……休みの日に一緒に遊んで……なんだよ、楽しそうじゃねえか! そうだよ、俺たちはお前にそういうガキの特権時代を過ごしてもらいたかったんだ!」



 シィーリアスの過ごしている青春。その一端を入学僅か数日で受けて、それが嬉しかった。


「さて……やっぱあの二人を連れ戻すか。もっとあいつには好きにさせてやれって」

「フリード……」

「いいじゃねえか! 俺らが余計に手や口出さず、あいつがあいつの考えでこれからの青春をどう過ごすか……もう少し見守ろうぜ?」


 そして、これからも愛するシィーリアスが楽しく過ごせるようにと、遠い空の下で願っていた。



「……しかし、もし学園の女生徒を妊娠……しかも王族や貴族の娘を複数人に……となれば、色々な問題が……」


「それは確かにすぐ止めねぇと!!!!!」




――第二章 完――




――あとがき――

お世話になります。本作、色々と考えましたが、ここで一旦一区切りとさせて頂きます。短い間でしたが読んでいただきありがとうございました。


本作、ノクタ版とカクヨム版で内容に矛盾が生じない程度に変えておりましたが、流石にこれ以上は無理(特にヒロインとの関係)と判断し、続きとなる物語はノクターンノベルズでコソコソやっていこうと思います。


ご興味ありましたら引き続きよろしくお願いします。



勉強不足な魔法蹴撃士~勉強しながら最強の足腰で♥イロイロ♥学園無双

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また、本作をここまで読んでいただき、「面白い」と思っていただけましたら、下記の「★で称える」でご評価いただけたら嬉しいです。


今後の執筆活動の励みになります。


何卒、よろしくお願い申し上げます!!!!!


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勉強不足な魔法蹴撃士~勉強しながら最強の足腰で学園無双 アニッキーブラッザー @dk19860827

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