すっとんだシュールさと細やかな距離感の機微、感情曲線が大混線します

「昨日助けていただいた銀縁眼鏡です」
……という、かっとんだ台詞から始まる本作。
そこから、人の世の常識に疎い人間化銀縁眼鏡さんと、主人公小此木くんとの奇妙な日常が始まる……のですが。

最初は銀縁眼鏡さんの常識外れな言動に笑わされつつ、次第に物語は、眼鏡の持ち主である剣城さんとの微妙な距離感を描き出し始めます。
笑いは徐々に距離感の機微へと置き換わり、柔らかくも複雑な余韻を残しつつ、物語は終幕へ向かっていきます。

しかし、そのまましんみりでは終わらせてくれないのが本作……。
最後の最後では思わず吹き出しました。ここで吹き出すのが正解だったのかは、若干自信がないのですが。

シュールな笑いと微妙に揺れる感情との間で、感情曲線を激しく混線させてくる一作なのは間違いないと思います(全力の褒め言葉のつもりです!)

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