夫婦喧嘩勃発?

「それじゃ、旦那によろしくね」

「ごめんね、話聞いてもらって」

「謝るのなら、今後はもう少し惚気話を少なくしてほしいかな」


そんな言葉とともに、ミクは病室を後にした。

ミクと話をしているうちに決心をした。

あたしは全部言葉にしようって…

そして夫婦喧嘩をしてやる。

そう意気込んで旦那であるカイトのお見舞いを待った。


急いで来なくてもいいということも電話で何度も言ったおかげで、仕事が終わってから来てくれたカイトは汗をかいていた。

会社から急いできてくれたのだろう。

それだけであたしがどれだけ大切にされていたのかわかる。


「大丈夫?」

「ちょっと貧血になっただけだから、明日には帰れるよ」

「よ、よかった…」


安堵するカイトを見て、どのタイミングで言っていいものかと考えているとカイトのほうがそれでも心配するように、言葉にする。


「でも、本当にここ数日どうしたの?」

「え?」

「かなり顔色も悪かったから何かあったのかと思って」

「それは…」


いざ言おうとしたら怖い。

これを言ってしまって二人の関係が終わってしまったら…

でもそんなときにミクに言われた言葉を思い出した。


『そんなに愛してくれてるって思っているなら言わないの?』

『でも、聞いていいかわかんないことだし…』

『だったら一生そのままでいるの?』

『それは…』

『それに、趣味の一つや二つくらいで…』

『でも、普通とは違うから…』

『それを普通の趣味にするかどうかはエリ次第じゃないの?』


そう言われたのだ。

そこで気づいた。

確かにそうだ。

もし後ろめたいことがあって、カイトが何かをしていて別れてしまう。

そんなことになってしまっても、結局今のままではいられない。

それに、女装趣味がダメだと勝手に決めつけてしまっているのはあたしだ。

あたしが勝手に、そんなことをするのならあたしのことを好きじゃないのかもって思ってしまっているだけなんだ。

だからちゃんと言葉にしないといけない。


「カイト!なんでカイトはそんなに可愛いのよ」

「え?」


ただ、聞き出し方は失敗した…

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