第84話 バリア
レベル上げと、死のエネルギー集めは順調だった。
まあエネルギー集めが順調なのは問題がある気もするが、そこは気にしない事にする。
「よし!モノクル完成!」
ギルドハウス――聖なる剣が買った屋敷――で、堪ったエネルギーを使って見通すモノクルを制作する。
そして俺は早速それを自分の顔に装着した。
「何か……あんまり似合わないわね」
「ふ、胡散臭く見えるわ」
アイシスには不評な様だ。
他の面子も、うーんって顔をしている。
見通すモノクルは呼称の割に、片側に付ける変な仮面っぽい装備だ。
胡散臭みえてしまうのは、多少仕方がない。
こういうのは性能優先である。
まあクレアの「胡散臭い」は、褒め言葉な気もするが。
流石厨二病。
さすちゅうだしな。
「まあ……見た目はともかく、優秀な装備なんだよ」
「どんな効果があるのかしら?」
「効果か?効果は二つあって、一つは視界内の相手のHPとMPが見える様になる」
モノクルを装備すると、HPを示す赤いバーと、MPを示す青いバーが相手の頭上に表示される様になる。
残念ながら数値までは見えないが、これがあれば相手の状況が一目瞭然だ。
別に大した効果じゃない?
そんなわきゃねぇ。
戦闘において、敵味方の状況が視覚で把握できるのはかなりデカい。
強敵相手の責め時だったり、撤退の判断基準に直結するからな。
「へー、便利ね。で、もう一つの効果は?」
「喰らったダメージ軽減するバリアを展開する効果だ」
「バリアって……凄い効果ね」
「まあな。ただ、馬鹿みたいにMPを消費するのがアレだけど」
この効果は、発動時に最大MPの30%を消費する。
しかも持続、そしてダメージ発生時にも大量のMPを消費してしまうので、例え魔法使い系でも長時間展開するのは難しい。
その点、死霊術師はMPの使い道が余りなく、更に接収でとんでもステータスが可能であるため、この装備をある程度使い熟す事が可能だ。
死霊術師の為の装備とまではいわないが、その適正は間違いなく高いと言えるだろう。
「MPの消費が馬鹿みたいに高いんじゃ、私達には向かないみたいね」
「ふふ……確かに他の人間では厳しいでしょうね。でも!ユーリと同じ闇の使徒たる私なら使い熟す事は可能よ!」
クレアがそう言って、自慢気に厨二っぽいポーズを取る。
だが――
「いや、流石に無理だぞ」
クレアは大賢者のお陰でMP量がかなり多い。
それに加え、攻撃時の回復効果もある。
そのためMP維持能力はかなり高いと言えるだろう。
とは言え、黒曜石の短剣による消費で攻撃時の回復は相殺されてしまう。
更に魔法剣用にバンバン魔法を使い、分身まで使うのだ。
とてもではないが、モノクルの効果を維持する事は出来ないだろう。
ま、ピンチの時にピンポイントで使用するぐらいはできるだろうが……
だが、それなら別の装備でも同じ様な事は出来る。
態々大量のMPを消費するこのモノクルを付ける意味はないだろう。
「そもそもレベルカンストでMP2万超える俺だって、回復アイテムなしじゃ長時間展開とかは絶対無理だからな」
――モノクルはあくまでも、極限レイド戦を想定しての装備だ。
極限レイド戦では、防御を捨てたガチンコの正面衝突になる。
何せ相手は馬鹿みたいにタフな上に、自然回復速度もえぐいからな。
ソロでダメージを通して倒しきるには、必然的にそれ以外の選択肢はない。
当然回復している余裕などないので、受けるダメージは初回のエリクサーを除けば、全てアルティメットエリクサー頼りだ――下僕はすぐに殺されるので、回復魔法は期待できない。
その際にMPも全快するので、俺はそれを利用してモノクルの効果を維持する予定である。
「だからお前の分は作らねーぞ」
「ふ……まあいいわ。私には私に相応しい、装備との
まあ運命でも何でも、ふわふわ好きな様に追いかけててくれ。
俺は真っすぐにレジェンド装備に突き進むのみだ。
最弱クラスと言われている死霊術師、前世記憶でサブサブクラスまで得て最強無敵になる~最強ネクロマンサーは全てを蹂躙する~ まんじ @11922960
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