一握の幸福が、いかに貴重なものであるかを……

いくさによって、突然修道院を追いだされた見習い尼僧のマルティナは、連れこまれたお屋敷の品定めの場で、とっさの判断で、小作人のアルベルトのものになると云い……
こうして、二十も年長の貧しく口数の少ないアルベルトとの生活がはじまる。

良作!
ただただ厳しい現実がマルティナの前にあるばかりで、登場人物たちはその気まぐれに翻弄され、苦しみ、泣き、そしてその中で一握の喜びを見出そうとする。
それがどれほど貴重なものか、どれほど価値のあるものか、この物語は私たちに問いかけてくれる。