第19話
19話
俺がダンスを中止してから、お兄さんたちはどうしたらいいか考えているようであった。だが、その中でもお兄さんだけはなんで俺がこうなったのか分かっているようで、一つずつ説明してくれた。
「・・・言葉は悪くなってしまうけど、、、君のダンスはお手本に忠実すぎる。機械的過ぎるんだ。」
「どういう事ですか?」
機械的過ぎるとはどういうことだ?確かに今のダンスは練習したダンスをそのまんまま出したが・・・でもムーブ事態はどこでも見れるようなものだし、そこまで変なものではないと思うが。。。
「今のダンスは練習をそのまま持ってきたような・・・ん~何て言えばいいんだ。」
「練習をそのまま持ってくる?」
「うん、・・・ダンスにかける姿勢が練習と言うか。・・・練習のダンスをそのまま持ってきたんだと思うから見ていて楽しそうでは無いんだよね。」
姿勢?感情の事かな。
「・・・そうだ、実際に見てよ。」
すると、お兄さんは何かを思い浮かんだのか、その場でダンスをし始めた。
「例えばこのキッチリしたダンス。これを見ていると、練習だとかそう言う風に見える。反対に、こんな風にわざと流して踊ると・・・悪いイメージに見えてくる。・・・分かったかな?」
・・・何となくだが、理解できた気がする。
お兄さんが言った通り俺が踊ったダンスはキッチリしたダンスだ。出来るだけ綺麗にブレないようにして踊っだ。・・・でも、次の悪い感じに見えるダンス。そのダンスは同じムーブなのに、印象が大きく違う。
・・・本当に多分なのだが、印象はムーブ以外にもその微小な動きで変わって来るのではないだろうか。だから・・・もしかしたらだが、怒っている印象を持たせたり、泣いている印象を持たせたりも出来るのかもしれない。
これは・・俺が悩んでいたのっぺりしたダンスと同じ分類の事だと思う。
「小さい動きで印象は変わるから意識して踊ったらいいと思うよ。」
「・・・何かいい練習方法はあるんですか?」
今までそう言う事に対して、練習してきていなかった。だから、どんな練習をすればいいか分からない。
「練習方法か~。・・・ある?」
「楽しく踊れば良いんじゃない?」
「楽しく踊るですか?」
楽しく踊って変わるものなのだろうか。さっき俺も踊ったが今の様になってしまったが。
「今の君は練習のしすぎでムーブが型にハマっちゃっているんだよ。だから、音楽にノッて楽しく踊るのがいいよ。」
楽しく踊る・・・だから、ダンス部の自己紹介の時は楽しいっていう感情が出てきていたのかな?あの時は練習なんてまだやっていなかったし。
・・・でも、その前にものっぺりしていたダンスを踊っていたよな。。。でもあの時も型をしっかりやろうと必死になっていたからな。
「だから!踊ろう!」
とその合図と主に音楽を流してくれて、俺のダンスの改善を手伝ってくれるようであった。
・・・・ここまで親切にしてくれたんだから、俺はこの人達を楽しませれるように頑張らなきゃな。
★
「改善してきてる・」
「気が付いた?そうなんだよね。」
今日も三月さんとダンスの練習をしているのだが、今は練習がある程度終わって、少し休んでいるのだ。
だけど、俺は体が休まらなく少しダンスをしていた。
お兄さんたちが言っていたように、練習以外のもダンスをした方が良いと、楽しいと思うようなダンスをすべきだと言われたので、今は練習関係なくただ好きなように踊っていた。
だからなのか、そのおかげで楽しいダンスの仕方が分かってきたし・・・それに、練習のダンスと本番のダンスの違いが何となく分かってきた。これはお兄さんの助言あってのことだ。
「何かやったの?」
「いや、ただダンスをする時間が増えただけ。」
そう、俺はただダンスをする時間を増やした。練習以外のダンスを増やしただけなのだ。
練習の様に張り詰めたようにするダンスではなく、音楽にノって魅せるためダンスを。
「ふぅーん。・・・私も踊っていい?」
「いいよ。俺1人だけで踊るのは寂しかったし。見られるのは恥ずかしかったからぜひ踊ってよ。」
そのように言うと、三月さんは練習と同じように踊り始めた。・・・そう言えば、三月さんは普通に踊れていたよな。・・・もしかして、伝える印象を変えたりできるのかな。
「三月さんはダンスの印象を変えたりできるの?」
「・どう言う事?」
「ほら、俺のダンスに違和感があったのって、練習みたいなダンスで楽しそうじゃなかったからなんだ。・・・だから、今は楽しくダンスをして、その印象を覚えようとしているんだよね」
「ん~。。」
俺が説明すると、三月さんは悩んだようにその場に止まって考え始めた。
「・・・こんな感じ?」
すると、三月さんが始めたダンスはさっきの練習の様なダンスではなく、俺がいま覚えようとしていた、「楽しい」印象を与えるダンスであった。見ているとこっちも楽しくなってくるような、、素敵なダンス。
「他には。」
三月さんは一度止まりワンテンポ過ぎるとまた踊りだした。今度は「楽しい」ではなく悲しい。悲壮感溢れるそのダンスは同情してしまうような。
さっきまで楽しいダンスをしていたのに、一瞬でここまで印象を変えてしまうのは凄い。
「後はこれ?」
そのダンスそれは、胸を押されたような強く熱い。力強いダンス。・・・カッコいい夜のダンスを見た時俺はそう言う風に思った。ダンスで与える感情はこんなものまであるのかと、再認識させられた。
「・・・ふぅ。」
「凄い。・・・どうやったの?」
三月さんのそのダンスは凄かった。この少しの瞬間居あそこまで違う印象を持ったダンスが出来るなんて。・・俺はそのダンスに敬意を表しながらも、俺もあんなダンスがしたいと思った。
「・・・分かんない。」
「分かんない?」
分かんないとはどういう意味なんだろうか。
今三月さんは俺が求めていたようなダンスをしていたが・・・もしかして、明確なコツとかは無いの?
「ただ、こんなダンスがしたいと思っただけだから。・・・これに関しては未夜さんの方が詳しいと思うよ。」
未夜さんとはダンス部の2年生で元々バレエをやっていた人だ。
「未夜さんのダンスはパッションに溢れてる。見ていて気持ちがいいよ・・・今度未夜さんと一緒に練習しよう!」
「・・・そうしようかな。」
未夜酸のダンスはまだ一回しか見ていない。それも自己紹介として見せて貰ったダンスだけだ。だからいまだにどんなダンスをする人なのか良くは分かっていない。・・・もし、三月さんよりも、感情溢れるダンスをするのであれば。。。
俺はそのダンスを知りたい。・・・そして、俺も出来るようになりたい。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ご覧にいただきありがとうございました。
面白かったらぜひ感想や評価をお願いします!!!モチベに繋がります!
春樹君のダンス事情 人形さん @midnightaaa
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます