第18話
18話
それは俺よりもと言うえそうなお兄さんたちとダンスをするとき。なんでもサイファーと言う物を作るらしいがそれが、なんなのか分かっていない。
でも、ここにいる俺入れて5人の人で円になっている。
「じゃあ、曲付けて。」
すると、流れてきたのはIncredible Bongo Band – Apache。
練習をする時にどんな曲を使えばいいか分からなかった時に調べたら結構上に出てきた定番の曲らしい。この曲を知らないブレイクダンサーは居ないとの事だ。
それほど、有名な曲だから・・・結構頻繁に使わせてもらっている。
「いいね!んじゃ、僕から!」
すると、その円の中に入ったのは親切に俺に話かけてきてくれた、お兄さんであった。
勢いよく入っていくからこの曲がそれほど好きなのだろう。
・・・どの様なダンスをするのだろうか。
そんな考えはお兄さんのダンスを見たら一瞬で消えた。
ブレイキンのパワームーブだ。お兄さんがダンスの入りとしてエントリーをやったことで・・・分かった。
多分世間体でストリートダンスと聞いて一番分かりやすいと言うか、有名なのはこのブレイキンだろう。
そのダンスは、チェアーや倒立を使う派手で豪快さがあるダンスだ。俺はそう思っている。
実際に、ダンス部でブレイキンのパワーをやっている勝木さんのダンスを見た時は飲み込まれるような豪快さが合って楽しかった。
すると、二回目の8カウントが終わりオンカウントに入ると同時にそのお兄さんはパワームーブに入った。
この曲はさっきも言った通り、3回目の8カウントの初めの1でギターが入り曲調が変わる。つまり、音を合わせようとするのであれば絶好のタイミングなのだ。分かりやすく、入りやすい。
そして・・・これはお兄さんの技量なのかもしれないが、、入りがカッコ良くなる。ジャーンというギターの音に合わせてフロア、つまりパワームーブに入るのだが・・・入りのエントリーはいわゆる立って踊るダンス。そして、パワームーブは床に手をついて踊るダンスだ。
そしてこれはダンスなのだ。ただ、しゃがんでパワームーブに入るのは味気ない。
だったら何をするのか。お兄さんがしたのは、ギターの真似をして入ったのだ。ジャーンと片手はギターをもう片手はピックを持って手を下に思いっきり下げる。
言ってしまえば入りなんて何でも良い。ただ、面白くカッコいいい。それでいいのだから。
そして、お兄さんの入りは・・・カッコ良かった。
「フぅ!!!!」
「いぇ!!!!」
そんな時、円を囲んでいるお兄さんの友達であろう人たちは大きい声を出して、その入りに興奮していた。
・・・これをまじかで見たのは初めてだ。何を言っているのかと言うと、動画の話になってしまうのだが、上手くはまっている場面やカッコいいムーブをしたときはよく声が上がっているのだ。
それはダンスをより引き立たせていて、気持ちがよかったのだが・・・まじかで見ると、本当に良い所で声を上げているだけなんだな。
お兄さんはその声を良くしたのか、俺はあまり見てこなかったパワームーブを豪快にしていた。凄い楽しそう。
自分のムーブがこんなに楽しませられていて、いいムーブだとこれをあげられている。
そして、そのお兄さんの気持ちが伝わってくる。ダンスのムーブ一つ一つから感情が溢れていた。・・・お世辞にも、ダンス部の勝木さんよりは上手くない。そう思えてしまうようなダンスだ。
一つ一つの基礎がなっていない部分があるし、音を外しているところもある。だけど、・・・そんな事をおいておいて今はお兄さんのダンスが一番だと思えている。それくらいダンスが楽しいと言う感情が伝わってくる。
するとワンムーブ終わったのか、円の外側に戻ってきた。
だが、お兄さんと交代するようにお友達さんが円に入りダンスをし始めた。
・・・・もしかして、これをずっと繰り返すの?、、、そんなに体力が持つかな。
さっきまで練習をしていたので体力はそこまで残っていない。そもそもここに来る前にも学校で練習をしていたのだから、結構疲れてきている。
・・・まあ、なくなったときに考えればいっか。どうせ、家までは電車で帰ることができるし、歩くのはそこまでない。
それなら、ここでダンスをしまくってもいいだろう。・・・今は目の前のダンスに感化されたのかいっぱいダンスをしたい気分なのだ。
そんな事を考えて声をかけていると順番が回ってきたように、俺の番となった。
「気楽に楽しむことだけを考えればいいよ。」
お兄さんにそう声をかけられたが、人前でダンスを披露。それも、即興では緊張しないわけがない。
思わず、体ガッチガチになってしまっていて、ちゃんと踊れるか心配になってくる。
・・・・まずは。。。この前充希さんに教えてもらったヒップホップのワンムーブをするか。即興と言っても、俺にはもともとある手札から出すことしかできない。
でも、ある程度は出来ているはず!
俺はお兄さんたちを自信満々に見ると・・・お兄さんたちはなぜか不思議そうな目で俺の事を見ていた。なぜ、そんな顔をしているのか分からず俺は思わず止まってしまった。
確かに声が聞こえたのは俺が踊り始めてから最初の最初だけ。それ以外は何も聞こえず、1人でダンスをしているようであった。でも、声が聞こえなくなった時は俺が集中して聞こえなくなったのだと。
音楽を聞いているからだと納得していた。だけど現実は俺のダンスが原因だった。
なんで・・・なんで、俺のダンスだけ盛り上がらないんだ。・・・もしかしたら気のせいなのかもしれない。もしかしたら、たまたま、ノれなかっただけなのかもしれない。俺はそう信じてもう一回踊り始める。
数週間しかダンスを初めて立っていないけど。。。それでもこれまで練習をしてきた。技術はちゃんと身に着けることが出来て踊れるようになったんだ。
だから、俺のダンスはお兄さんたちの様にカッコいいんだ。
「・・・」
だけど・・・現実はそううまくいかない。
「もっと体の力を抜いて!」
そんなとき、お兄さんが俺に声をかけてきた。俺のダンスを見て何か思ってのかアドバイスをくれた。
・・・体の力を抜く?。。どうすれば力は抜けるんだ?
筋肉に力を入れなければいいのか?もしくはもっとアイスとレーションを使って踊ればいいの、ウェーブを使えばいいの?
どうすればいいの!!!!
それは俺の脳を混乱させるには容易い言葉であった。
今まで練習でやってきたように本番でもムーブをかまして・・・そうすれば勝手に盛り上がってくれる。そう思っていた。
すると何と言う事か。俺の体は止まってしまい、ダンスは中断してしまった。
なぜ止めたのかは分からない、でもダンスが出来る心情ではなくなったのは、その瞬間自分でも理解した。・・・ダンスという緊張感が、お兄さんのアドバイスと合わさって凶器となったのだろう。
分からない理解できない。そんな焦りは俺を混乱へと導いていく。
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