居場所をさがしてはじまる物語

真っ白な髪に肌、赤い瞳のショウ。現代でいうアルビノでしょうか。

ふつうとは違った外見を持つがゆえ、理不尽な嫌がらせによって神殿を追放され……居場所を失ったショウが、まわりの人々に励まされながら、『学院』に合格するまでのストーリー。

家族やレオナルド、フェイ、シリルなど、みんなショウを認めてくれて、いい人たちですね。ショウの心の支えになっているのだと思います。

あえて気になる点を挙げますと、読者として読みたいのはやはり主人公の『葛藤』や『成長』の物語、ということ。この作品は、『これからショウの学院生活が始まる……!』という、いわゆるプロローグの部分にあたります。これから物語が始まりゆくプロローグであっても、なにかしらのドラマを読み手としては期待してしまいます。

レオナルドと食事をしているときだとか、それなりに楽しそうな描写はありますが、基本的に追放されたショウ視点の、淡々としたストーリー展開が占めているため、個人的にはもう少し『主人公の感情の揺れ』が見たかったな、と。

悲しみに沈んだり、怒り狂ったり、大声で笑ったり。心理描写のメリハリ、そしてそこから紡がれる葛藤や成長が見たい。その一点です。

もし後日談があるならば、そうしたショウの葛藤や成長の物語が見られると今後に期待して、★★評価とさせていただきました。

私的な意見ですので、あくまで参考までに。
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