第13話 遠い未来
「ごめんなさい……」
目には涙を流し、悔しそうな表情で女性は俺を見ている。
「謝る必要なんてない、お前は十分やった……これは仕方のない事なんだ」
「それでも!」
「いいんだ、それにこの結末は俺がお前から逃げた結果だ……お前のせいじゃない」
女性……ルナは黙って俺を見ている。
昔と違い、随分と発達しているルカを見て、
「強くなったな……でも泣き虫は相変わらずか……」
「………私は貴方を……」
悲痛な表情で言う彼女に俺は心が痛む……。
しばらく見つめ合っていると、銀色の髪の少女が現れる。
「良かった、無事だったのね!」
銀色の長い髪を靡かせるその姿はあの日会った女神を彷彿とさせる。
おそらくこの子が……。
銀髪の少女は俺を見て、
「その人が言ってた人?」
「……うん」
「出来るの?」
ルナは黙っている。
「出来ないのね……」
銀髪の少女は剣を抜く。
後ろの方で男がいるが、手を出す気はないようだ。
「どこで間違ったかなぁ〜」
そうポツリと呟くと、もう一度ルナを見つめる。
あの時、あの手を取っていたら……そう思ったところで今更なのだが……。
「さて、もう少し予言とやらに付き合ってやるか……」
構え、少女に狙いを定める。
無言で銀髪の少女は俺を見つめ構える。
俺は駆け出し、少女と対立するのだった。
結果として俺は負けた……。
胸を見ると斬撃の跡がついている。
致命傷だ。
薄れゆく意識の中俺を見つめる者がいた。
「ル…ナ……」
俺を抱き抱え、こちらを見ている。
「私は、貴方のことが好きです……理由なんてありません、あの日あの森で会った時から私は貴方に一目惚れしていたんだと思います」
真剣な眼差しでいうルナ。
「貴方のそばにいたかった! だけど私はまだ幼く非力で……」
泣きそうにいうルナの頬に手を添える。
「お…れ…は、お…前…の…事……」
大切だった。
たった数日の旅だったが、俺には心の光だった。
「なく…な……」
笑顔でいて欲しい……。
ルナは目に涙を浮かべ無理に笑顔を作る。
意識が黒く染められていく。
ルナの顔が少しづつ見えなくなっていく。
くそ、もう少し見せてくれよ……。
あ〜あ、死ぬのは嫌だな……。
ルナが大泣きするのが目に見えている。
そして何も聞こえなくなり、意識が完全に途切れたのだった。
少女と勇者 ゆうき± @yuuki0plus
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