言葉にしにくく伝えたいのに伝えたくないもの

青白い茜色

恋人と愛人だと愛人って意味が悪いけど愛のほうが強いよね

好きの思いを言葉にしよう

好き、好き、好き

愛してる

愛してるって言葉にすると陳腐でとてもつまらなく感じる

だから言葉にしようとしても陳腐でつまらなくてハイハイで片付けられてしまう

好き、愛してる

それで通じないのならどうしよう

言葉が陳腐でありきたりで通じないのなら説得してしまおう


何で好きだと思ったの?

愛を自覚した理由は?

愛したキッカケは?


どうして一緒にいるのか

どうして一緒にいたいのか


寄り添って生きていたい

背中を預けて息をしたい


共依存とか傷を舐め合う関係とかそれって最高じゃないか

互いに相手がいないと生きていけない関係なんて布団に入って眠るような当たり前で暖かくて眠たくて素敵なことだろう



相手がいないと生きていけない事は変わらない日々を愛するのと同じこと

当たり前にそこにいて、当たり前に話して、当たり前に笑う

そんな家族愛と呼ぶ気持ちを共依存と呼ぶのなら、私と貴方はとても幸せだ


お互いに傷付いてその傷を舐め合う関係なんて素晴らしい

私は貴方の傷を癒せれて貴方は私の傷を癒せる

傷なんて全然癒えないのに貴方と私二人揃えば癒せれる

お医者さんにも隠して言えなくて抱え込んで沈む傷でも、相手が舐められるように腹を向けて見せ合って舐める

そんな傷付いた獣の怪我に触れて治せる関係を傷を舐め合うというのなら、私と貴方はとても幸せだ



寄り添っているだけの刺激のない恋愛なんて、とても胸が鳴る


刺激がないと恋じゃないと言われても、刺激がないと満足出来ない事が恋なら、恋というのは相手はエッセンスで大事なのは行動なのかもしれない

守ってあげたい子が好きとかグイグイ来る人が好きとかよく聞くけれど

寄り添い合って相手が転んだら引き上げて相手が走ったら追いかけて相手が立ち止まったら手を引いて、そうしてくるくる回ってないと

常に後ろにいる貴方も常に前にいる貴方も顔が見れない

体の重みを押し付けあって無音の中で座っている鼓動の音も小さく聞こえない

そんなただ過ぎる時間を共有する時間を刺激のない恋と呼ぶのなら、私と貴方はとても幸せだ






まあ、それでも

そう思っているのは私だけなのかもしれない

そう思って幸せだと語るのは私だけなのかもしれない

でも、それでもだ

死んではならないとか

お前が生まれたのは母と父だけでなく祖父祖母更にその昔から繋がってきたものでお前だけの命じゃないから生きることは義務だとか

死んでも地獄にも天国にもいけないからどうにもならないとか

復讐になんてならないとか

そんな綺麗事でも責任感でも義務感でもなくて


死ぬな

泣いて叱って怒って恥も外聞もなく飾り気ない叫びを上げた貴方の熱で、私の心の火は灯された

そんな貴方と依存して、傷を舐め合って、寄り添って生きられるのなら、私はとても幸せだ

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

言葉にしにくく伝えたいのに伝えたくないもの 青白い茜色 @meme13

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ