太陽への感謝の祈り

 会社の倒産で住む所を失い途方に暮れていた天涯孤独な青年(陽人)に、手を差し伸べてくれたのは見かけはぶっきらぼうな滝川木工店の青年でした。共同生活を始めていくうちに、二人の辛い過去が明かされていきます。

 ぶっきらぼうだと思っていた滝川木工店の青年は、忘れられない恋により時が止まっていましたが、周囲の人々により次第に心が変化していきます。

 本作は、とても不器用で情に厚い優しい人物像がうまく描かれています。まるで木材のように触れるとあたたかなぬくもりを感じ、人間味溢れる作品です。

 人は人とかかわることで自分を変えていくことができる。そう思わせてくれる人の内面が丁寧に描かれています。

 読後は陽のあたる青空の下で、森林浴をしているような心地よさに包まれます。

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