半身

つくお

半身

 ぼくには生まれたときから右半しんがありません。だから、ぼくの右半しんはつくりものです。右半しんをはずすと内ぞうが流れ出てしまいます。

 おとうさんは、広いせかいのどこかにぼくにぴったりの右半しんをもった子がいるはずだといいます。ときどき、ぼくと同じくらいの年ごろの子どもをつれてきては、地下でたてに半分に切ります。そして、右半しんをぼくにつなぎ合わせるのです。

 お母さんはのこった左半しんで料理をつくってくれます。ぼくはなれない体をつかっておいしくいただきます。

 右半しんはうまく合わないと、ひと月もしないうちにだめになってしまいます。くさりはじめたらあわてて取りはずして、いつものはりぼてに逆もどりです。

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半身 つくお @tsukuo

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