小説を嗜むそこの諸兄ら、この作品を読んでいないのは勿体ないぞ――!

まず、私はこの作品は「プロの手によるものか?」と疑った。実際にツイッターに確認しに行った程だ。
それほどまでに、この作品の完成度は素晴らしい。

主人公であるアイシャの父は、帝国が誇る白櫻騎士団の騎士団長だったが、帝国を売り渡そうとした嫌疑で処刑されてしまう。
父が首を刎ねられる様、そして共謀した魔女が生きたまま火あぶりにされる処刑を見ていた、幼い少女のアイシャ。
そうしてそこから十年先。閑職に追いやられた白櫻騎士団の第二師団長になったアイシャたちに、一つの命令が下される。
それは「終戦間近の隣国との防衛戦に一個師団を派遣せよ」という奇妙な物だった――。

重厚な設定ながらも、とても読み易い丁寧で流麗な文章。登場人物たちの心理描写の上手さは正しく職人技。お見事!と喝采を送りたいくらいである。

残念ながら、本作はまだまだ星の数などは低い状態である。
しかしながら、物事の本質を見抜く力を持つ諸兄らなら、そんなものには惑わされる事なく、本作を楽しんでくれる事だろう。
損はさせない。お釣りがくる、どころか「本当に無料で読んでしまっていいのか?」と不安すら覚えるだろう。

濃厚で繊細なハイ・ファンタジーである本作を、どうかお楽しみいただきたい。

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