この作品では、森に住む「熊」を主人公として、ほかの動物たちとのかかわりを描きながら、「たったひとつの『ものさし』を押し付けるとどうなるか」ということを書いています。
柔らかい語り口の童話なので、すっと入る内容ですが、読んでいくときっと誰しもが「あること」に気づく内容になっていると思います。
特にこの作品では「熊からみた正義」や「優しさ」が描かれています。「正義」や相手を思った「優しさ」は一見いいもののようですが、これも押し付けてしまえば相手にとっては苦しいものになります。
さて「熊」は、どうして自分の「ものさし」を相手に押し付けてしまったのでしょうか。
気になった方は、この物語の最後に何が待っているか、読んでみてはいかがでしょうか。
とある森で、ひとりぼっちで暮らしていた一頭の熊。ある日、鳥が運んできた種から見たこともない木が育ち、甘い香りの花や美味しい木の実をつけました。森が豊かになっていくと、森に住みたいという動物も増えて、熊には友達がたくさんできました。
けれども熊はしだいに、動物たちのあることが気になり出して……。
可愛らしい動物たちがたくさん登場して、ほっこりとした雰囲気がありながら、深く考えさせられる内容の物語です。
熊さんはどこで間違ってしまったのか――?
絵本にして子どもたちに読み聞かせ、話し合ってみたいですね。また、大人が読んでも、「自分も熊さんのようなことをしていないだろうか?」と、ふと考え直すきっかけになるかもしれないです。
優しくも深い童話の世界。
ぜひ、読んでみてください!