カレーラーメン
高岩 沙由
野菜もりもりのカレーラーメン
「よし、今日はカレーラーメンにしよう」
土曜日の朝、起き抜けにそう決心すると、急いで1人と1匹で住んでいる部屋をすべて掃除して、買い物に出かける。
「グリ、買い物に行ってくるから、お留守番宜しくね」
「にゃあ」
愛猫のグリが玄関マットの上に座り、私を見上げて一声鳴く。
そのままドアを開けて外に出た。
最初の目的地は自転車で5分のところにある安売りスーパー。
そこで生ラーメンを1袋ともやし1袋を購入すると、隣の建物に入っている100円ショップに行き少量タイプのカレールーを購入する。
最後は家から徒歩30秒のところにあるコンビニで野菜炒め用にカットされた物とそのコンビニのプライベートブランドの缶ビールと缶チューハイを買って家に戻る。
玄関を開ける時は買い物袋でドアの隙間を塞ぐように少しずつ開けていく。
「グリ、ただいま」
グリは玄関マットのうえで何か期待するような目をして私を見上げている。
「何もないよ?」
そう言うと、すぐに部屋に戻っていく。
私は苦笑いしながら、家の中に入ると、缶ビールを飲みながら、買い物したものを狭いキッチンに広げていく。
ガスコンロが1口しかないため、缶ビールを飲みながら作る順番を考える。
つまみなしで缶ビールを飲み終わると、気合を入れて、缶チューハイを開ける。
「よっしゃあ、作りますか!」
1人、声を上げて冷蔵庫から50グラムに小分けしている豚バラ肉を3つ、人参2本を出す。
「最初はカレーを作るよ!」
誰もいないけど、声をだす。たまにグリがにゃあと返事をしてくれる。
吊り下げ棚から大き目の皿を2枚取り出したあと、缶チューハイを一口飲み、調理を始めた。
まずは、具材を切る。
人参を乱切りにして、皿に置いておく。
次に大好物の玉ねぎを6玉、半月切りの薄切りにしておく。
キッチン下の収納棚から寸胴鍋を出すと中火にしてサラダ油を引いて人参を最初に炒める。少し炒めたところで、切った玉ねぎの半量を炒め始める。
玉ねぎがしんなりとしてきたら、水を加えて煮込む。
ジャガイモを入れるとカレーの痛みが早くなるので、今回は入れない。
灰汁をとりつつ弱火で煮込み、人参が柔らかくなったら、火を止めてカレールーを細かく砕き入れていく。
あらかた溶けたところで、弱火にして、残っている切った玉ねぎを半量入れて煮込む。
時折、鍋底からひっくり返すように混ぜ合わせ、とろみがついたら完成。
「よし、カレーは出来上がり!」
私の言葉にグリがにゃあ、と返答してくれる。
休む間もなく、カレーラーメン作りに取り掛かる。
でも、難しいことはない。
カレーを作った鍋を玄関の近くにある洗濯機の上に新聞紙を敷いてその上に置くと、フライパンを取り出し、ガステーブルにセットする。
コンビニで買ってきたカット野菜ともやし1袋をそれぞれざるにいれて軽く水洗いして、水をよく切る。
フライパンに少量の油を落とし、カット野菜を炒め始める。
カット野菜のキャベツの縁が透明になってきたら、もやしと豚バラ肉を入れてさらに炒める。
もやしがしんなりとしたところで軽く胡椒をしてなじませたら出来上がり。
そのフライパンも洗濯機上のカレーが入っている鍋の近くに置く。
さあ、続いてラーメンを作っていきますよ。
深めの両手鍋を出したら、めんつゆと水を入れるけど、ややめんつゆ多めで沸騰させる。
その間に生ラーメンを半分にして軽く粉を落とす。
鍋のつゆが沸騰したら、生ラーメンを投入して3分程茹でる。
茹で上がる寸前に先ほど作ったカレーを鍋に投入する。
なじませるように中火でゆっくりと煮込む。
程よく全体がなじんできたところでどんぶりに移す。
そして、その上に先ほど作った野菜炒めをのせたら完成!
題して、
[野菜もりもり、麺は半分でお腹がいっぱいになるダイエット中のカレーらーめん]
の出来上がり。
そのままベッドの前に置いてあるテーブルに持って行き、座布団に座る。
グリも私が落ち着いたのを見計らい、膝の上に乗ってくる。
「いただきます!」
「にゃあ!」
まずはもりもりと山盛りになっている野菜炒めを少しずつ崩しながら食べる。
胡椒を使っているけど、量が多くないので、うす味で、これだけでもごはんが食べられる。
野菜を崩したら、次は麺をすする。
その合間にスープを飲む。
めんつゆを使っているので、蕎麦屋のカレーうどん/そばのつゆに近い味だ。
カレーは人参の歯ごたえを感じ、玉ねぎは硬さが残っているのと、柔らかいのが混在している。
玉ねぎを大量に使っているので、玉ねぎの甘さがカレーに溶け込んでいる。
山盛り野菜炒め→麺→カレーつゆと、一心不乱に食べ進める。
ダイエット中はとかく油や麺類を省きがちになるけど、どうしても食べたいときに作るカレーらーめん。
麺はラーメン以外に蕎麦でもうどんでもいける。
「ごちそうさまでした!」
そう言うとグリは膝からおりて、ネズミのおもちゃをくわえて戻ってくると、ぽと、と私の前に置く。
「おーし、遊ぼうか!」
「にゃあ!」
そうして、土曜日の午前中は慌ただしく過ぎていく。
カレーラーメン 高岩 沙由 @umitonya
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