余命1年の僕と空っぽな少女が恋に落ちるまで

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「ナニヲシテイル……デスカ」

　男は少し考え込んだ様子を見せると改めて僕の方に向き直り事情を話し始めた。

「I'm……イエ、エイゴヨリニホンゴデハナシタヨサソウデスネ。エマオジョウサマノトキモオナジデシタシ」

　片言だが何とか日本語として形にはなっていたので理解をすることはできた。正直英語なんて話されても僕にはさっぱりなので日本語が話せてよかった。

　だがそれよりも気になる単語が出てきた。エマお嬢様と言っていたが一体誰のことだ？それと光に何の関係があるんだ？

「マズハ、ジコショウカイサセテクダサイ。ワタシノナマエハ、シモン・アベラール、イイマス。フランスのダイキギョウ………イッテモワカラナイデスネ。トリアエズ！ソコデニホンデイウ、ショキ？ヲヤッテイマス」

　そんな大物が光の腕を引っ張り無理やり連れて行こうとするなんてどういうことだろうか。自己紹介を聞き余計に謎が深まった彼に僕は疑いの視線を向けた。

「ソコニイルエマオジョウサマ……イエ、イマノナマエハ、ヒカリデシタネ。ヒカリオジョウサマはワタシノハタライテイルカイシャのヒトリムスメナノデス」

「はぁ？」

　僕は驚きと怒りが湧き出てきてしまい少し威圧的になってしまった。

　光が大企業の一人娘？こいつは一体何を言っているんだ？いや、別のそれは今はいい。それならどうして光はアフリカ大陸で紛争地域に捨てられていたんだ？自分たちで捨てたくせに今更連れ戻そうとしているってことだろ？ふざけんなよ。どんな理由があったって実の娘が死ぬような目にあった元凶である光の両親が今さら接触しようとするなんて許せることではない。

　僕がシモンに向かって文句を言ってやろうとするがそれよりも早く彼が言葉でそれを制した。

「アナタノイカリハモットモデス。サキホド、ヒカリオジョウサマノコトヲ、カノジョトイッテイマシタ。ヒカリオジョウサマのアナタヲミル、メ、カラモソレハツタワッテキマス。ダカラアナタノキモチハワカリマス。シカシ、ドウニモナラナイリユウガアッタノデス」

「実の娘を捨てといてどうにもならない理由？そんなこと通用するはずがないだろ！」

　我慢の限界がきて少し叫び気味に言っていたが幸い周りに人はいなかったので大事にはならなかった。

「チガイマス！スコシゴカイガアリマス。カノジョのリョウシンはヒカリオジョウサマをステテナドイマセン。ヒカリオジョウサマはジュウロクネンマエ、オジョウサマがマダウマレテ、ハントシも、タッテイナイコロニユウカイサレテシマッタンデス」

　その言葉を聞き僕の時間が一瞬止まったような気がした。