茫漠の日々の果て

作者 雨月

88

30人が評価しました

★で称える

レビューを書く

★★★ Excellent!!!

働いて寝るだけの生活から抜け出すために、二十も歳上のバツイチサラリーマン倉茂と結婚することを選択した美弥。

失うものなどなにもない。そんな思いから、新しい世界へ踏み出した彼女だったが、しかしそれは、新たな地獄の始まりだった。

結婚を期に、倉茂は変貌する。褒めていた手料理を貧乏くさいと貶し、会社の愚痴で家庭を埋め尽くす。精神の汚物を美弥にぶつけ、従順な弱者を貶すことで自分が高みにいると錯覚し、精神の安定を保つ倉茂。

弱いものが更に弱いものを叩く現実。歪なストレスの発散と自己肯定のための生贄になった美弥は、狂った自己愛から彼女を蹂躙する倉茂に怒りを感じ、復讐することを誓う。

行き過ぎた美貌により孤独になってしまったAV女優の優里、不器用ながら確かな優しさを持った藤堂との出会いによって、美弥は自分の人生を獲得していく。

茫漠な世界で自己を失い、孤独を感じやすい現代において、確かな幸せとはなんだっただろうと思い出させてくれる傑作。

★★★ Excellent!!!

作家の資質の中で最も大切な事柄の一つが、どれだけ自己の作品を読者の目線で見れるか。
雨月さんの文章にはそれが非常に強く感じられます。多分、難しい言葉も色んな隠喩表現も、もっともっと頭に浮かぶはず。でもそれをあえてしない、「割愛する文章力」をお持ちの方。僭越ながらそう感じました。

今後も雨月さんの作品を読むのが楽しみです。

★★★ Excellent!!!

1話あたりの文字数が多くないので軽い浅い作品かな?って読み始めたんですけど、そんなことは全くなかった。


ざっくりした内容としては、少女時代に母親の男にレイプされ、高校卒業とともに家を出るがワーキングプアーとなる主人公。
その主人公が30前後?になるころに20歳程上のおじさんに声をかけられ、結婚するが…
続きは本編で(笑)

いわゆる甘さとかそういうのは全くないけれど、最後はどうなるんだ?と次々に読み進め。
読み終わって気づくとレビュー欄に書き込んでる自分がいましたw
読んで明るい楽しい気持ちにはなる作品ではないと思うので読み手を選ぶとは思いますが、私個人としては良作品かと思いました。
カクヨムにこういうジャンル・方向の作品が増えるといいですね!

★★★ Excellent!!!

淀んだ空気の様な心情描写を淡々と描いている。大袈裟な表現も過度な描写もないが故に美弥の感情がよりリアルなものとして読み手に伝わる。

ここまでリアルな心情描写はしようと思ってできるものでもなく、ただただ感服。

この先主人公がどう生きるのか、救いはあるのか、それも気になるが、流れてくる負の感情に引き込まれ、目が離せない、そんな名作。