それは千佳と梨花によって、明かされた可奈の推し活。
大創 淳
第二回 お題は「推し活」
――今日の正午、御飯時。目の当たりには、いつもの面々。食していた。
双子の姉の
「推し活?」と、思わず声に現した僕。思いもしなかったお題なので……
「推し活ねえ……串カツじゃなく」と、梨花が言うなり、プッと噴き出しそうに……
「ちょ、梨花、言うと思ったけど、今食事中……危うく牛乳噴き出しそうになったじゃない、まあ、お約束だけどねっ、フムフム、だったら
「でも、イマイチなの。アイディアは浮かぶのだけど、それをね、伝えきれなくて文章にしきれなくて、去年のKACでも正直……何とか完走に至ったの、何とかなの。梨花が協力してくれたから、……グスッ、一人じゃ何もできないよお……」
「千佳、泣かないの。それは僕だって同じ。千佳がいなかったら、僕だって一人じゃ何もできないから、ねっ、一緒にやろ。可奈も僕らのために一肌脱ぐって言ってくれてね」
「こら、梨花、調子に乗って人を頼ろうと……
って、まあ、そんなに言うんだったらね、協力しないでもないけどね……」
「ありがと、可奈お姉様」と、梨花に便乗して僕も、可愛い妹を演出し合唱。
「まあ、可愛い
情報通では、この学園内では彼女の右に出るものは……恐らくいないと思われる。光よりも速い検索、見る見るうちに……ハッカーもできる程の腕前。そう思っていたら、
「煽てても何も出ないわよ。それでもまあ、推し活の一つは何とかするから、あなたはメモるの、しっかりと。そもそも推し活とはね……」と、説明から入るの。可奈の推し……
思いつくものは、お星様。天体観測。それから理数系……
すると、特撮ヒーロー大好き少女ということが、今この場で明らかとなったのだ。これまで僕らが知らなかったことだから、恥ずかしがって仕舞い込んでいた推しなのかな?
そうは思っていたのだけれど、その真逆で熱く語る。家では変身グッズも兼ね備えていて、なり切るの、可奈のイメージカラーが青なだけに「ブルーレンジャー」と、名乗りに合わせてポーズまで決めたのだ。その時にはもう……可奈のお部屋にいる。
今日の学業を終え、
集結する秘蔵のコレクションが集まるこの場へ。
そして推し活なら、もうお家の中で行われているの。それは紛れもなく彼女のお家の中に於いて。そして彼女は今日も「パパ、お帰りなさい」と、嬉々としてお出迎え。
またまたブレイクしたそうなの。
可奈のパパのお仕事。……そうなの、実はレジェントと呼ばれる歴代の『ライダー』でもあったのだけど、もう一つの顔が合って『宇宙戦隊のブルーレンジャー』だったの。
そのコスチュームは青のメタリックで、
光るスーツのメカ。レーザーブレイドという武器を構える。そしてもう一つは、彼女のパパのお名前にある。藤岡
それは可奈が、小学四年生の頃。
実は可奈の推し活は、そこから始まった。つまりは藤岡仁の大ファンとなったの。
そしてかっこいいパパでありながらも、尊敬する大好きなパパ。
秘蔵のコレクションとは、やはりライダーシリーズや戦隊もの。それらのソフビ人形となる。これならば可奈がスパルタママの重圧によって、または高校受験のプレッシャーによって非行に走ることがなかったのも頷ける。とても良いバランスの家族関係なの。
来年からは高等部。僕らの学園は中高一貫で、中等部から高等部に進むことを賛成してくれたのはパパだったそうだ。「パパ、大好き」と、可奈が思わず抱き着いていたのも目に浮かぶ。それは可奈のもう一面。僕らの知らない可奈の一面だったから、僕と梨花も興味津々……やはり推し活とは、その興味津々から始まるのだと思えたの。
――よく考えてみて。
可奈は教えてくれていた。僕らの身近なところに、推し活はあるのだということを。
それは千佳と梨花によって、明かされた可奈の推し活。 大創 淳 @jun-0824
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