二刀、もし納むらば

西紀貫之

こっち男用、こっち女用。

「俺、ちんちん2本生えてるって言ってたっけ?」

「僕は初耳なうえに、え? なに?」

「こっちが男用、こっちが女用」

「脱ぐなよ!! というかホントに2本生えてる。え?」


 こっちが男用? こっちが女用? 意味が分からん。


「なんでこっちが少し勃ってるんだよ」

「お前に見せてるからさ」

「パンツ穿けや」


 話を整理しよう。いや、状況を把握しよう。

 簡単な話だった。


「俺は男であろうと女であろうと性的に喰っちまう俺としては、真の二刀流を目指したいわけよ」

「つまり?」

「ちんちん2本とも勃てて凸凹×したい」


 こいつの頭の中を見てみたい気がする。性嗜好はどうやって切り替えてるのか、というか、共存してるんだろうか。脊椎引きずり出して解剖したらわかるだろうか。


「残念ながらお役に立てそうもない。繁華街にあるそういう施設に行って、男女スタッフをこう重ね合わせて『えいしゃおらー!』ってやればよくない?」

「男の尻を見ながらだとこっち側が萎えちゃうんだよ」

「難儀なヤツ」


 ほんと難儀なヤツ。


「お前なら俺の気持ちを分かって貰えるとばかりに相談したんだよ」

「相談される身にもなれよ。僕はそういう相談は人にはしないんだ」


 シモの相談は確かにあるが。おくびにも出さない。


「なんだお前も2本生えてるのか?」

「察しがいいにも程がある上に、まったくちがうわ」

「じゃあなんだよ、俺がこうして腹を割って話したんだ。お前も少しは俺に腹を割り相談してくれてもいいじゃないか。な、俺たち友達じゃないか」

「脱ぐなッ」


 友達そこは否定しないが。


「なんだ、男らしくない。まあ線は細いものなお前」

「僕はお前ほどマッチョじゃないけど普通だよ」


 ううむ、しかたがない。


「僕な、実は肛門がふたつあって――」


 詳しい話は割愛するが、このあとすぐに彼の問題も僕の問題も解ケツしたことをメイキしておく。やはり相談はしてみるものだ。

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二刀、もし納むらば 西紀貫之 @nishikino_t

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