22 私の誕生秘話 ②

「また、女かぁ、働く気がせんようになった」

生まれた瞬間から父から見放された私です。


 さて突然ですが、皆様は「リア王」をご存じでしょうか?

ウィリアム・シェークスピアによって書かれた四大悲劇の一つです。

本作はリア王の悲劇の物語。

ゴネリル(長女)、リーガン(二女)に国を譲った老王が、娘達から裏切られて国を追い出され、半ば狂気に囚われます。そしてフランス王妃となっていたコーデリア(三女)の助力により2人と戦争するも、敗北。その後、王が絶命するまでの壮絶な悲劇、不条理を描いています。


 私はこの物語を小学生の時に読んで、思ったのです。

コーデリアは私だと。

うふふ、思い込みも甚だしいとお思いでしょうね。

 私は小さい頃から、本を読むのが大好きで、しかも本を読んだ後は必ず物語の主人公になりきって空想に明け暮れていました。この時はコーデリアになりきって。

勿論、実際にはこの物語と全然違うのですが、何となく自分と重なる部分を感じて父は今は私を必要としていないけど、きっといつか、私が生まれて来て良かったと思う日が必ず来るという根拠のない自信というか確信を持ったのです。

その時、私の中では、コーデリアは王を救うとても素直で優しく勇敢なイメージだったのです。(小学校の図書館で借りた本だったので、児童用にソフトに書かれていたのかもしれません)

コーデリアが三女だった事とそのイメージだけを重ねて、父の気持ちを変えて見せるなんて思っていた私です。うふふ、大それたことを考えていたものです。

だって、コーデリアになりきっていたんですもの。


 ところが大人になって改めて「リア王」を読んだら、あの時に感じたイメージとは全く違っていました。おおよその期待を裏切る、多くの登場人物が死に絶えていく物語であり、救いはないと思えるストーリーでした。そしてコーデリアの性格もゆがんだものでした。しかも最後には無念の死を遂げてました。

けれど、小学生の時の私は、コーデリアを通して、自分の生きる意味を感じていたのです。何故だか分かりませんが……。もしかしたら、勝手に自分の都合のいいように空想してコーデリアを創り上げていたのかもしれません。


 実際に、父は私が生まれた時はがっかりしたようですが年老いてから私が実家に帰って一緒に住むようになってからとても喜んでくれました。

昔はとても頑固で、融通がきかず、母にも優しくないし、なんて父だと思っていましたが、晩年はとてもまあるくなって、私を頼って、「〇〇〇(私)が娘で良かった」なんて言ってました。

ほ~らね。私が思った通りだった!って妙に納得しました。

(∀`*ゞ)エヘヘ


 そんな私は小さい頃は、すぐ風邪をひいて寝込むような子だったので、母はちゃんと育ってくれるだろうかと気をもんだそうです。

確かに、私は一年中と言っていいほど風邪をひいていて、治ったと思えば又ひいての繰り返しでした。

しかし、そんな心配をよそに私は段々と逞しく育っていきました。

小学校を卒業した頃には、すっかり元気になりお蔭様で大きな病気もしていません。


 話は変わりますが、私が生まれた家は現在も残っており、私が中学校の時に、その家の隣に新しく家を建てました。当時の台所は土間だったのでその部分は壊して、すぐ隣に建てたのです。生まれた時の家と新築した家の2軒が並んだ形です。

私が実家に戻った頃は、まだ両親が元気だったので、母屋(私が中学校の時に建った家)に両親が住み、隣の家をリフォームして、私が住んでいます。それぞれ独立した家でしたが、リフォームした時に、二つの家を繋いで行き来できるようにしました。キッチンとお風呂は母屋にあるのでそれを共有してます。


 現在私は、自分が生まれた時の家をリフォームして生まれた時の部屋を寝室として使っています。

内装は洋風になりましたが、私は私が生まれた時の場所で、寝起きしているのです。

 母の介護が必要になってからは、母の部屋で寝るようにはなりましたが、母がショートステイを利用して夜いない時は、自分の寝室の方が落ち着くのでそこで寝ています。

 それで私はふと思ったのです。私って生まれた場所で今寝てるだって!

こんな人はあまりいないんじゃないかなって思ったのです。

だって今は、殆んどの人が病院で生まれているから、あり得ない話です。

それに、大人になったら別の所に住んでる人の方が多い気がします。

 だから、最近思うのです。願わくば、この場所で最期を迎えられたら本望だなって!

何でも空想してしまう私だから、こんなミラクル起こせないかなって勝手に思いながら、私の『昭和日本昔ばなし』を締めくくらせて頂こうと思います。



    **********************



 私の拙作『昭和日本昔ばなし』を読んで下さった皆様、

そしてそれを読んで更に懐かしいコメントを下さった皆様、

知らなくても話に付き合って下さった皆様、

その他たまたま通りすがりの皆様、

本当に本当にありがとうございます。

 こんな昭和の話し、誰も興味を示さないだろうと思っていたので、当初は5~6話位で終わる予定でしたが皆様の暖かいコメントで盛大に盛り上げて頂き今回まで続けることが出来ました。

 この話しの中から、皆様のコメントを通して、体操服のブルマ姿という新たなキャラも生まれました。思いがけない嬉しい展開でした。

ご覧になった事がない方はこちらの近況ノートをご覧下さい。


https://kakuyomu.jp/users/cocopin/news/16817139555397455350


本当に感謝、感謝でいっぱいです。

まだまだ、昭和の話しは語れば尽きないのですが、一旦終止符を打ちます。

まだまだ話したりない人は、


楠瀬スミレ様の

『話したくって昭和ないからドンピシャの人いらっしゃ~い!』 


https://kakuyomu.jp/works/16816927859441396856


 週1度のペースで、公開されていますので、そちらで一緒に昭和な話しで盛り上がりましょう!懐かしい話しのてんこ盛りです\(^o^)/


又、いつか別の形で皆様と会える日を楽しみにしています(^^♪

それでは皆様、ごきげんよう!




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

昭和日本昔ばなし この美のこ @cocopin

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ