そして花嫁は一振りの刀と成る。

 故国を無慈悲に滅ぼされ、仇国の王に娶られることとなった悲劇の姫君・壱。
 彼女は一振りの小太刀と、鏖(みなごろし)の決意を純白の花嫁衣装に隠し持ち、己が婚礼の宴席へと臨む――。

 たった三千五百字とは思えない、長編映画のクライマックスを切り取ったかのような大興奮をもらえる物語。血生臭く凄絶、それでいて、美しさすら覚える修羅場の圧倒的な描写と、壱姫の気高さ・存在感に呑みこまれます。
 戦いの果てに明らかになる、煌めく「二刀」の真の意味を、どうぞ刮目して見届けてください。