プラネテスの魔女と御子‐星を渡る舟Ⅱ‐

「ねえ、フィー。もう一度旅に出てみない？　今度はもっと遠く――宙の向こうまで」
「いいよ。ボクがどこまで一緒に行けるかはわからないけど、楽しそうだし」
かつて《魔女》と呼ばれた少女アニエスと、かつて《御子》と呼ばれた少女フィーネ。
限りある時間の中で多くの世界を知るために故郷を離れた二人は、宙の彼方を廻る旅に出た。
見知った風景に似た星、忌避したくなる星、想像すらしなかった星。
互いの運命の余白が続く限り、二人の少女は星々を放浪し続ける。

【巨大な星】
アニエスとフィーネが訪れたその星の特徴はとにかく全てのものが大きい事だった。
二人は巨木の森で強大な魔力を持つ狼と遭遇し、ひと悶着あって行動を共にした。
文明がまだ存在しない原始の星で、魔女と御子はあるものの誕生を見届ける事となる。

【星…続きを読む