裏の顔がバレた
ゴローさん
本編
「先生って今、彼女いるんですか?」
「いや、いないな」
「いたことってあるんですか?」
「、、、プライバシーに関わることだから黙秘する。」
「じゃあいたことあるんだー!」
「、、、、、、俺のことを聞いて何になるのか知らないが、次の授業が始まるからさっさと散れ」
「「「「「「「キャーーーー」」」」」」」
そう言って自分の教室に帰っていく。
それを見届けた俺、高田弘志は、こっそりため息をついた。
昔からイケメンと言われてきたが、高校の教師になって3年。ここまでJK受けするとは思わなかった。一般的には、羨ましく聞こえるのかもしれないが、気に入ってもいない女子に休み時間になる度に囲まれるのはいい気分ではないし、むしろうんざりだった。
◇◇◇
夜。
昼のストレスもあるがある悩みが俺の頭を悩ませていた。
今日は2月7日。つまり来週はバレンタインだ。
今日のこの調子だと何個チョコをもらうのか、、、考えただけでゾッとする。
別にもらう分にはいいのだが、もらったからにはお返しをしないといけない。友人にその悩みを相談すると、そんな律儀に返さなくていいと言われたが、そう言うわけにはいかないんだろう。
「あーっ!もうこんな時間か、、、もう知らん!なるようになれ!」
俺はそう言うと、パソコンの前に座る。
しばらくカチカチッといじって、
「みなさんこんにちは。イケボ系J tuber ひろっしーの雑談ライブをしていこうと思います」
そう、俺は教師の傍ら、配信者の活動をする二刀流人間なのだ。って言っても、学校では誰にも言ったことはないけど。この配信でリスナーさんと交流することが俺のストレス発散の場となっている。
コメント
:待ってました!
:雑談ライブとは珍しい、、、何かあったんだな、、、
「あー、みなさんこんにちはー。なんか察しがいい人がコメント欄にいるんですけど、その通りです。ちょっと皆さんに日常生活について相談したいことができたんですよね。みなさん相談に乗っていただいてもいいですか?」
コメント
:全然いいですよー
:まさか、卒業発表⁉︎
:やめないでよ⁉︎
「みなさん温かい言葉ありがとうございます。大丈夫です!卒業はしませんよ。」
コメント
:よかった!
:じゃあなんのことだろ?
「あー、いや大したことじゃないんですけど、バレンタインでうまくチョコを貰わないようにするにはどうしたらいいと思います?いちいちお返ししないといけないのが面倒なんですよね、、、」
コメント
:は?もらいたくても、もらえないやつもいるのに悩みが贅沢だな!
:人生勝ち組だな、、、
そんなこともないと思うんだが、、、
そう思いながら、1時間ほど雑談配信をした。
◇◇◇
翌朝。
靴箱に行くと、一通の手紙が入っていた。
「放課後、屋上に来てください」
見た瞬間破りたくなった。どうせ生徒からの告白だろう。生徒と先生の間の恋愛なんて叶うはずがないのに、無駄なことをする生徒がいるものだ。早く帰りたいのにな。
◇◇◇
放課後
屋上に行ってみると、女子が一人座っていた。
そこにいた女子を見て、俺は驚いた。
西田沙織-----俺のことを唯一嫌ってくる女子だ。
こいつには嫌われていると思っていたのだが、いつのまにか俺のこと好きになっていたのか。まあ返事は変わらないけど。
「おい、西田。俺のことを呼び出したのはお前であってるか?」
するとこちらを向いた西田は、ニヤニヤしながら
「そうですよ。バレンタインのチョコをもらいたくない高田先生?」
ん?バレンタイン?それって配信でしか言ってないはずなのに、、、
「おい!お前なんで、俺だってわかったんだ⁉︎」
「やっぱりそうだったんですね!カマをかけてみたんですけど、引っかかりましたね!」
「グッ、、、」
あっさり引っかかってしまった。
やばい。本当にやばい。今まで誰にも言っていなかったのに、よりによって、1番バレたくない
「大丈夫ですよ!まあ私、先生のことが嫌いなわけではないので、とりあえず協力しますね!」
「何をだ?」
「バレンタインを貰わないようにです!」
「おう、頼むぞ、、、」
それしか俺は言えなかった。
◇◇◇
翌日。
3年d組に足を踏み入れた瞬間強烈な違和感を覚えた。
いつもまとわりついてくる女子が、今日は一人も来ない。
明らかにおかしかったが、気にせず授業をした。
◇◇◇
「お前、何をしたんだ?」
放課後。
西田と合流して真っ先にこの質問をした。
すると、
「先生がバレンタインでチョコをもらわないように、みんなに私が先生の彼女だって言いふらしたんですよ。」
「なんで⁉︎俺お前のこと彼女にした覚えないんだけど?」
「でもバレンタインチョコもらいたくないんですよね?」
まあ、そうだけど、、、
そう思う俺の中に、一つ疑問が浮かぶ。
「なんで、俺のためにそんなにしてくれるんだ?」
すると、当たり前のように、しかし衝撃的なことを口にする。
「なんでって先生のことが気になっているからですよ?」
「はぁ⁉︎お前俺のことをいっつも睨んでたよな⁉︎」
「それは先生が私以外の女子に話しかけられて、鼻の下を伸ばしていたからです。」
「伸ばしてない!」
マジか。俺こいつに嫌われてなかったんだ。
「じゃあ、なんだ?他の女子みたいに付き合いたいとか要求しようとしてんのか?それなら先に断っておくぞ。」
「じゃあ、ゲームしましょう。先生が一つでもバレンタインチョコをもらったら私は諦めます。でも、一つも貰わなかったら、私の彼氏になってください。」
「いやだ」
「なんでですか⁉︎」
「だるいから」
「むむむ、、、じゃあ、もし一個でももらったら、金輪際女子生徒にキャーキャー言われないように言ってあげますから!」
「ムリ、、、いや本当にそれができるのならいいぞ?」
「わかりました!じゃあそれで行きましょう!」
そう言って、西田は歩いて行った。
どうせ、もらってしまうだろうし、それで金輪際女子生徒に話しかけられないようになるなら、儲け物だ。
◇◇◇
2/14 バレンタイン当日
一個ももらえなかった。
というか女子に目すらあわされなかった。
悔しいけど、俺の負けだ。
「私の彼氏である先生にチョコ渡さないでよ」と全力で圧力をかけたらしい。
西田は学年の中心的女子だから、みんな素直に聞いてしまったらしい。
放課後
「私と付き合ってください!」
「わかった」
「やった!ちなみにそれは約束があったからですか?」
「いやそれもあるが、、、」
一度言葉を切って、
「恋に盲目じゃない女子は嫌いじゃない。お前は頭もいいしな。これからもよろしくな!」
「ウヘヘ、褒められちゃいました!」
二人で微笑みあった。
裏の顔がバレた ゴローさん @unberagorou
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