第9話【ずんだ餅】
5月も終わりに近づき春なのに風が冷たい
兎に角寒さに震える日が続くと嫌になる
困ったことだ
土曜日なのに三姉妹が家にいる?
『ねぇ美味しいものを食べに行かない?』
と言われてもなぁ・・・
「何が食べたいのよ?」
『思い付かないからデパ地下にね!』
「デパ地下?なんだそれ?」
『◯越デパートの地下食品売り場よ!』
「デパートの地下か、車を用意するから」
日産スタンザ初期型1800ccEGIのM5速同僚から譲り受けた中古車だがその性能に惚れた
『え?あれで行くの?』
中古車で3人に不人気の車だか問題はない
「タクシーにするか?」
トランクの大きさが小さいけど?
『タクシーはもっと嫌!』
後ろが狭いと荷物が積載出来ない
『ダーリンお願い』だと
「◯越デパートの駐車場に行くよ」
『『『はーい』』』
自分達の都合に従う俺は召し使いであろう
実はこの車ドライサンプとオイルクーラーが最強の武器、夏場ギンギンに冷えます!
渋滞に嵌まっても関係無く冷えます!
冬場はガンガンの暖房仕様です!
オイル交換の距離が延びます
燃費は普通かな?
◯越デパートの駐車場に置き地下食品売り場に入ると宮城県フェアが開催されていた
【ずんだ餅】が頭に浮かび涎が止まらない!
季節に関係なく食べる宮城県のずんだは特別な食べ物だけど何も言えない
勤務先は岩手県も同じで知らんプリだ
緑色で甘くクセになる味は、口の麻薬だ!
『ア~ラ先生シサシブリ!』
と呼ばれ振り向いたら元勤務先の婦長さん!
「ア~ヤカワリネクテイガッタナ~ヤ」
東北弁の岩手と宮城の共通語を話していた
『ビズンサンツェディイゴダ』
とからかわれても理解出来ない3人はキョトンとしたまま
『アンダモビズンノマンマダッチャナ~ヤ』
ズーズー弁の応酬はフランス語に近い発声に感じるそうな
『ダーリン、フランス語なの?』
「元勤務先の言葉でズーズー弁だよ」
と答えてた私も最初は理解不能でした
『先生~チェデルシトオシェデケサイン?』
は何となく理解した模様
「婦長さん彼女は妻のヒロミです」
『ハヅメマステ元婦長の千葉です』
と自己紹介をされ
『初めてまして妻のヒロミです』
『奥さんイガッタラ食べてってケライン』
ずんだ餅の箸と皿をすっと差し出す試食品
一口より小さいがちゃんと2個を瞬間ペロリ
『こんなに美味しい食べ物を私に教えないなんて!ダーリン隠してたの?』
と詰め寄られたが
「好き嫌いが出る食べ物だから控えてたよ」
貴女は毎日造れと言うでしょう?
『こんなに美味しい餅があるなら教えてよ』
「餅だけで良いのか?」
『もっとあるの?』
「【ずんだ餅】がメインだよ」
『もっとあるの?』
「東北各地で作られて何種類あるか不明」
といい加減な答えしか言えない義父とタマに食べていたと言えば虐められると困る
『そんなにあるの?』
「地域により製法も違うし何とも・・・」
と濁した
岩手県は餅に砂糖を加え日持ちを長くさせる
宮城県は砂糖を少なく柔らかさを持たせる
色々な製法があるので教えきれないのが実情
取り敢えず【ずんだ】と名の付くモノを沢山買い求め帰宅した
餅文化は【ずんだ】に始まり【ずんだ】で終わるくらい奥が深い
(義父には知らんぷりのメールを入れる)
被害の拡大は避けなければならない
(返信があり『了解!』と貰えた)
宮城県フェアは暫く開催しているらしい
毎日餅三昧できる事は素晴らしい
田舎料理の傑作の逸品!
カレーライスと同じで毎日食べても飽きない
これは小説です
閻魔大王様の依頼 あそう海 @atookai3304
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