サッカーJ1の名門チームの監督でありながら、経営陣と対立して追放された主人公・清川清彦。彼が新監督として就任した「多喜城FC」は、予算不足で設備もスタッフも足りない、選手はルーズで意識も低い底辺チームだった! そんな弱小選手たちとJ3リーグ優勝を目指してボールを追いかけるストーリーに胸が熱くなります。
チームの惨状を嘆いた清川は自分のツテでトレーナーや往年の名選手を集め、チームの改革を断行する。環境が整い、練習内容も本格的になるにつれて元からいた選手たちにもプロ意識が芽生え、次第にスポンサーやサポーターの期待を集めるチームになっていく成長ぶりが頼もしいです。
清川だけでなく、選手ひとりひとりのバックストーリーにもサッカーにかける情熱や人生が描かれ、人間ドラマが心を揺さぶります。
そして迎えたJ3リーグ開幕、蘇った弱小チームの怒涛の快進撃が始まる! 果たして清川と選手の夢は叶うのか! 小さな街のサッカーチームが起こす奇跡を是非ご覧あれ!
(「注目の自主企画から選んだ作品」4選/文=愛咲優詩)
『多喜城FC』はJ3リーグの最下位の弱小チームだ。
クラブハウスはプレハブ小屋。サポート体制もままならず、練習は30分遅れて開始する始末。
監督業をクビになった清川清彦は、スポーツバーで偶然出会った女性、雫に誘われ、偶然その惨状を目にすることになる。
サッカーというスポーツに魅入られた男たちの、熱きサクセスストーリー。
この物語に登場する人物たちの動機は『サッカーが好きだ!』です。
現実を生きる大人たちの根底にあるその思いは、人を惹きつけ、人を動かし、人を変えます。
どこかに仕舞い込んだ熱いモノを奮い起こしてくれる一作。作者の文章力にも注目です。