妖と人が織りなす縁の物語

人に障り、祟りを与える妖が人知れず跋扈する現代日本。
しかも、古よりの封印が解かれて近年はその動きがさらに活発化していた。

そんな中、ある男が同族でありながら同じ妖に牙を剥いている一匹の猫又を目撃する。劣勢に立たされながらも信念を曲げぬ猫又に男が興味を向けた時、物語は動き出す。

なぜ猫又は妖でありながら、人を害す意思がないのか。
猫又を助けた男の正体は。

物語が進むうちに明かされていく、それぞれの縁と想いの強さ。そしてそれを内に秘めて戦う姿はまさに「イケメン!」と叫びたくなる。
ちなみに私のお気に入りイケメンは猫又さん。戦いに対するストイックさとは逆に、動作が色々と可愛いくて思わず和んでしまう。


また、この作品は現在連載中の「火球 ―流るは吉か凶か―」と、その前作である「選り好みがはげしい蒐集家」のスピンオフとなっており、二作を知っていると更に楽しめる構成になっているのも嬉しいことである。
もちろん単品でも十分に楽しめるのだが、この作品で興味が湧いた方は、上記の二作もぜひ読んでほしい。

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