手傷を負った猫又が霊能力者に修行をつけてもらい「大切なあの人」を守る為に必要な力を身につけ再起するまで…妖怪と人のちょっと不思議な師弟関係を描いたアヤカシ奇談です。
鬼滅の刃しかり、古来より修行シーンを面白くかける作品に外れはありません。
なぜならば、それは主人公の成長を重視し、師匠と弟子の絆をしっかり描写するという確固たる信念に基づいて書かれているからです。
修行シーンは人気が落ちると一般的には言われていますが、それは何を書けば面白くなるのか作者さまが把握していないからではないでしょうか。
この作品は違います。
自由を愛しながらも心を許した人間には忠義を尽くす猫又くんと、ぶっきらぼうな態度をとりながらも根は優しい師匠。双方ともになかなかのイケメンであります。
妖怪譚が好きであれば是非!
人に障り、祟りを与える妖が人知れず跋扈する現代日本。
しかも、古よりの封印が解かれて近年はその動きがさらに活発化していた。
そんな中、ある男が同族でありながら同じ妖に牙を剥いている一匹の猫又を目撃する。劣勢に立たされながらも信念を曲げぬ猫又に男が興味を向けた時、物語は動き出す。
なぜ猫又は妖でありながら、人を害す意思がないのか。
猫又を助けた男の正体は。
物語が進むうちに明かされていく、それぞれの縁と想いの強さ。そしてそれを内に秘めて戦う姿はまさに「イケメン!」と叫びたくなる。
ちなみに私のお気に入りイケメンは猫又さん。戦いに対するストイックさとは逆に、動作が色々と可愛いくて思わず和んでしまう。
また、この作品は現在連載中の「火球 ―流るは吉か凶か―」と、その前作である「選り好みがはげしい蒐集家」のスピンオフとなっており、二作を知っていると更に楽しめる構成になっているのも嬉しいことである。
もちろん単品でも十分に楽しめるのだが、この作品で興味が湧いた方は、上記の二作もぜひ読んでほしい。