12.秋の花

 花の季節だった春が過ぎて。


 いつの間にかやって来ていた夏も、気付かないうちに過ぎて。


 淡い珊瑚色の街コラリリタウンにも秋がやってきます。


 いくらか寒くはなりましたが、それでもここはコラリリタウン。あまり観光客には知られていないのですが、春以外の季節でも街には花が飾られています。


 そんな童話に出てくるような街を、植木鉢を抱えて進む少年が一人。


 抱えた植木は、小さなもの。艶やかな緑の葉を茂らせた低木です。まるで小さな貝殻のような白い花を、いくつもつけています。


 少年は海に向かって進み、ついに一つの桟橋の先までやってきました。


「見て、マリームーン。これが、秋の花だよ!」


 桟橋の先の海には、満月のようなクラゲの姿がありました。



【コラリリタウンのマリームーン 終】

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

コラリリタウンのマリームーン ひゐ(宵々屋) @yoiyoiya

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ