重厚な筆致で紡がれる本格長編ファンタジー

このレビューを書いている段階ですでに70万字近い長編である本作。
なのでまだ冒頭部分しか読んでいないことになるのですが、それでも充分にこの作品の魅力が伝わってきます。
というか、第一話を読んだだけで「凄さ」は伝わるはずなので、ぜひ読んでみて。

と言っても、あと5分で電車が来る駅のホームなんかで読むのはおすすめしません。
家で正座して読みましょうとは言わないけれど、どっぷりと世界観に浸かれる場所と時間を確保したいです。

ファンタジー小説と一言にいっても色々あります。
最近流行りのゲーム世界っぽいものもあれば、童話っぽいものも。
本作は重厚な伝説や神話を思わせる本格ファンタジー。
頭の中に浮かぶ映像は、アニメではなく明らかに洋画です。
地の文もしっかり書き込まれていて、作り込まれた世界観がまぶたの裏に、鮮やかに映ります。

さまざまな登場人物たちが織り成す壮大な物語は、東洋のたとえになってしまいますが、水滸伝を思い出しました。
一人一人生きた人間である登場人物がたくさん出てきて、それぞれの人生がある――それが伝説か神話のような物語を織りあげてゆく。
ぜひ一話だけでも読んで、この大河に触れてみてください。

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