「【懐抱編・上】Call of the Master—運命と選択—」＜COMITIA139　サンプル＞

【この作品は上下巻に分かれています】

私は侍従——、世界を統べる存在である
我が素晴らしき王に仕えている。

我らに仇なす魔者——〈英雄〉と共に逃げた〈魔者の子〉は
傭兵団の一員として奴らの村で暮らし始めたようだな。
そんな仮初の安寧など、我が王がたやすく砕くというのに
愚かな〈魔者の子〉よ……。

だが、《英雄〉たちもなかなか忙しいようだな。
襲撃、裏切りと犠牲、そして断罪。
む、料理はうまそうだな。
あ、いかん、私としたことが……。
〈魔者〉どもの食事に興味を示すなどとは、一生の不覚。

まぁ、いい。〈魔者の子〉よ。
お前がどこにいようと我が王はすべてお見通しだ。
どんな仲間を連れてこようとも無駄だ。

戦場で会おうではないか、〈魔者の子〉よ。
その先は破滅だと教えてやろう。