第202話 ダンジョンひきこもりのおっさん

 ダンジョンの中に、女性型バニーモンスターたちはいなかった。


 そして、その後も入ってくることはなかった。


 ダンジョンの入り口はすべて閉じられているし、星間転移おろし金で移動するには、その場所の座標を入力する必要性があるからだ。


 その代わりに、俺たちが行くことができるすべての星に、女性型バニーモンスターたちが現れるようになってしまった。


 しかも、なぜか女性型バニーモンスターたちのウサギの耳が増えていた。


 なんと11段重ねになっていたのだ!?


 あまりの怒りでウンデカプルバニーランクに進化してしまった、と官邸が言っていた。


 なんじゃそりゃぁぁ!?

 そんなのあったのかよっ!?


 と思ってしまった。


 試しに戦ってみたが、すさまじい強さで、逃げるのがやっとだった。


 俺たちはダンジョンから出られなくなってしまった。


 仕方ないので、女性型バニーモンスターたちを倒すために修行をすることにした。



「うおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」


 俺はダンジョンの1階を全力疾走している。


 マジカル筋トレをしているからだ。


 他のみんなは別の場所で行っている。


「うへへへへへへへへへへっ!!ほらほら、もっとがんばって!」

「きょーっぺっぺっぺっぺっ!!もっと、しっかり鍛えないと!」

「ぷぷーっぷっぷっぷっぷっ!!一生ここから出られませんよ!」


「分かっているよ!!」


 コアラ、ライオン、ウシマスクの変質者3人組と、また会うことになってしまった。


 相変わらず、うっとうしい連中だなぁ。


 まあ、筋肉トレーニング魔法をかけると勝手に出て来てしまうのだから、仕方ないか。


 いや、待てよ。

 トレーナーって、変更できないのかな?


 後でソーテに聞いてみようか。



「うぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺっ!!本日はここまで!」

「きょーっほっほっほっほっ!!さあ、戻りましょう!」

「ぷぷーっぺっぺっぺっぺっ!!オーバートレーニングはダメですよ!」


「分かったよ。お疲れさん」


 では、みんなと合流しようか。



 合流地点にやって来た。

 ダンジョン1階の俺の家に通じる黒い円があった場所だ。


「ただいま、みんな」


「おっ、トウヤ、帰って来たな!」


「お疲れ様です、トウヤさん」


 みんなが出迎えてくれた。



「トウヤ、明日はダンジョンの探索だからな」


「ああ、分かったよ、骸王」


「うむ、では、しっかり休んでおけ」


「はいはい」


 俺たちはマジカル筋トレとダンジョン探索を、1日置きに行っている。


 はぁ、いったいいつまでこの生活を続ければ良いのだろうな?


 って、そんなの女性型バニーモンスターたちを全滅させるまでに決まっているか。


 ああ、どれだけ鍛えたら、まともに戦えるようになるのだろうな?


 まあ、気長にやるとするか。


 あっ、そうだ!

 トレーナーの変更について、ソーテに聞いてみないとな!


「トレーナーの変更?そんな方法知らんぞ!そんなことより、筋トレだ!!」


 分からないのか。


 なら、倒せるまで、ずっとあいつらとトレーニングすることになるわけか。


 やっぱり早く倒してしまおう!!



 超社長打倒から100年後。


 とある星の荒野で、俺たちは女性型バニーモンスターと対峙していた。


 キャビンアテンダントのような姿をしたヤツだ。


「うおりゃぁぁぁぁぁっ!!!」


 俺はありったけの力を込めて、刀を振るった。


「くっ、む、無念ですのコラァ……」


 俺たちは女性型バニーモンスターの1体を倒した。


 やった、やったぞ!!


 ついに倒せたんだな!!


 さあ、他の連中も倒してしまおう!!


「あああああああっ!!バニコぉぉぉっ!!テメェ、よくもバニコを殺したなオラァ!!絶対に許さんぞオラァ!!!」


 その瞬間を目撃した、他の女性型バニーモンスターたちのウサギの耳が増えた。


 11段重ねから、20段重ねになった。


 そして、彼女たちは格段に強くなった。


 なんでそんなことになるんだよっ!?


 クソッタレがぁぁっ!!


 勝てそうになかったので、俺たちはダンジョンに避難した。


 ああ、やれやれ、また修行の日々に逆戻りなのかよ。


 まあ、仕方ないか、がんばろう。


 そういえば、あれはなんというランクなんだろう?


 官邸に聞いてみた。


 ヴィジンタプルバニーランクというらしい。



 超社長打倒から1000年後。


 とある星の平野で、俺たちは女性型バニーモンスターと対峙していた。


 警察官の制服のようなものを着ているヤツだ。


「うおおおおおおおっ!こいつをくらいやがれぇぇぇっ!!」


 俺は全身全霊を傾けて、刀を振るった。


「くっ、ちょ、超社長、ごめんねオラァ……」


 俺たちは女性型バニーモンスターを1体倒した。


 おっしゃぁっ!

 やったぞ!!


 ようやく倒せたんだな!!


 さあ、他の連中も倒してしまおう!!


「バニカさぁぁぁんっ!!よくも、よくもバニカさんをゴラァ!!絶対に許さんぞゴラァ!!!」


 その瞬間を目撃した、他の女性型バニーモンスターたちのウサギの耳が増えた。


 20段重ねから、30段重ねになった。


 そして、彼女たちは格段に強くなった。


 またかよっ!?


 チクショウめぇぇっ!!


 また勝てなさそうだったので、俺たちはダンジョンに避難した。


 ああ、やれやれ、またまた修行の日々に逆戻りなのかよ。


 まあ、仕方ないか、がんばろう。


 ところで、あれはなんというランクなんだろう?


 官邸に聞いてみた。


 トリジンタプルバニーランクというらしい。



 その後も、こんな感じで、少しずつ女性型バニーモンスターたちを倒していった。


 ついでに大統領やバニー巨木も倒しておいた。


 女性型バニーモンスターたちに比べたら、とてつもなく弱かった。


 ウサギの耳が9段重ねでしかなかったからな。



 そして、超社長打倒から100万年後。


 とある星の荒野で、俺たちは最後の女性型バニーモンスターと対峙していた。


 ウサギの耳が100段重ねになっている、巫女の姿をしたヤツだ。


 センタプルバニーランクというらしい。


「これでとどめだぁぁぁぁぁっ!!!!!」


 俺は渾身の力を込めて、女性型バニーモンスターを斬り裂いた。


「くっ、くそっ、す、すまねぇ、超社長オイゴラァ……」


 女性型バニーモンスターを倒した。


 や、やった!

 やったぞ!!


 やっと終わったぞぉぉぉぉぉっ!!!!!


 な、長かった……


 ああ、苦労したなぁ……


 ダンジョンは1万階まで行ったし、カードも大量に手に入れた。


 マジカル筋トレの成果で、腰拡張の能力が強化され、全身が腰と認識されるようになった。


 今の俺の体はカードまみれだ。


 そんな状態になって、ようやく倒すことができたのか……


 色恋沙汰、メンドクセェェェッ!!!



 さて、これから何をしようか?


 ああ、うーん、そうだなぁ……


 全然思い付かないぞ……


 まあ、良いか。


 みんなで相談して、適当に決めよう!!!



 完。

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カードを腰に貼る!それがダンジョン攻略法!?最強無双で成り上がり!をしたいと思うおっさんの話 三国洋田 @mikuni_youta

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