MMORPGで起きる壮大な物語　※メタボ中年の物語じゃないよ、念のため

かつてネトゲ廃少年だった俺――青木は、同窓会で密かに想っていたアカネの近況を知る。彼女は引きこもってネットゲームに嵌り続けているらしい。
その話を聞いて、俺には心当たりがあった。自分がのめり込んでいたMMORPG、メタリボだ。仄かな期待を胸に、十年振りにメタリボをインストールする俺。そこに待っていたのは、衰退したオンラインゲームの理不尽に進化した姿だった。
果たして、そのゲームの中にアカネはいるのか、そもそも無理ゲーと化したメタリボの世界で俺は生き延びることができるのか。さらに、想像だにしない恐るべき事態が現実世界を襲い……。

廃れたオンラインゲームを舞台に、不条理に進化したゲームの中で起きる再会を描く。それをドラマチックに、甘く切なく、それでいてスリリングに描いたSFファンタジーの傑作。作者の筆力の高さ、思いもつかない奇想天外な発想が味わえることだろう。
なんとなく、メタボ中年のお話なのかなと回れ右していては勿体ない。現代にこそ必要な誰もが楽しめるエンターテインメン作品なのだ。