きっと夏のせい

水原緋色

第1話

 だらりと姿勢を崩し、机に上体を預ける。

 暑い。どうしようもないほど暑い。窓から入る風も生暖かく、気持ちのいいものではない。

 視線を外へうつすと、あいつがグラウンドをかける姿が目に入る。

 この暑い中よくやるな、とぼんやりと眺めていれば、スマホが震えバスの時間を告げる。重い腰を上げ、荷物を整理し最後にもう一度、窓の方へ顔を向けると、ちょうど一息入れているあいつと目が合った。

 ぶんぶんと手を振ってくるから、なんだか恥ずかしくなってパッと顔を逸らす。そっけなくし過ぎたかなと少しだけ振り返り、小さく手を振った。

 嬉しそうなあいつの笑顔が目に入って、さらに体温が上がった気がした。

 全部、夏のせいにしたかった。

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きっと夏のせい 水原緋色 @hiro_mizuhara

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