この主人公、悪役令嬢よりも遥かにしぶとい


 ピンク髪の男爵令嬢は、成りあがり貴族の娘であるが、その容姿は妖精のごとし。
 そして、冒頭。
 彼女、セレネ・バンブリアは簀巻きにされて湖に投げ込まれ、そこから男前にも水中脱出してきた状態で、夜会に乱入。この「乱入」から物語はスタートする。

 とにかく主人公の男爵令嬢がアクティブです。誘拐されそうになっても魔術強化された脚力で逃げたりします。敵も味方も振り切って。
 大人しく幸せがやって来るのを待っていたり、素敵な殿方に見染められねるのを期待したりとか、そういうタイプでは全くない。自ら進み、己のその手で幸せを勝ち取るヒロイン。昨今流行りの悪役令嬢ではないが、いわゆる悪役令嬢より遥かにしぶとい。まさに、新しい時代を切り開くヒロイン。

 とにかく冒頭が強烈で、その勢いのまま流星のこどく突っ走るヒロイン。全力全開で取りに行くスタイルが極めて爽快です。
 いわゆるテンプレの令嬢ヒロインから、一歩も二歩も三歩も踏み込んでキャラ作りされたセレネの活躍が、見ているだけで気分を上げてくれるエンタメ小説です。


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