復讐

証拠を持って、両親が懇意してる弁護士に相談をしたら親身になってくれて、両親は改めて安心して正式に依頼をする事にした。


逮捕は難しいかもしれないが、警察にも相談する形となった。

だが、地域の交番は、まともに取り合ってくれなかった。

私達も忙しい警察に相談しても良いだろうかと不安だったが、それにしても、あの交番の人の対応は無いと思ってる。

そこがダメなら上に方針で、県警に相談してみたら、まともに取り合ってくれて、親身に聞いてくれた。

こんな事で相談していいの?って思ってたけどね。

私の場合は悪質なイジメだから、今後の犯罪予防も含めて対応してくれるみたいだ。

交番の対応を話したら、それも対応してくれるらしい。

警察として公平性が欠落してるのは、致命的だと言っていた。


教育委員会にもイジメの事実と学校の対応を報告した。


準備が整い、決行した。


窃盗罪、侮辱罪、名誉毀損罪、侵害罪で被害届を出した。


数多の生徒の保護者からどういう事だと戸惑いがあった。

学校側からも事情を求められて、弁護士から学校側や保護者に説明した。


被害届を取り下げて欲しいと家まで突撃されたが、警察に通報しますよと言って、帰ってもらう。


学校側から話し合いを求められて、私達は弁護士を連れた。


教室に入ると、学校側と保護者と私をイジメた人達が、私達を睨んだ。


何故、このような時代になったかを説明する。


「イジメって、気のせいでしょ?こんな事して、関心を集めようとするなんて」


担任は、まだ現実を見てない発言をする。

そんな、担任の声に反応して事態をよく分かってない保護者は、私達を悪者にしようとした。


「担任が言うんだもの気の所為なのね?」


「とんだ迷惑をかけたわ」


「逆に名誉毀損罪でこっちが訴える事、出来るんじゃないか?」


プロフェッショナルな弁護士が空気を変える。


「静かにして下さい」


この一言で、ざわついた保護者を黙らせた。


「イジメられたと証拠もあります。聞きますか?」


「証拠...」


途端に、青ざめ始める生徒達。


「ねぇ、もしかして、本当にイジメを?」


我が子の様子に、半信半疑だった保護者に緊張が走った。


「証拠って何?」


涙目で睨みながら主犯格の女が聞いてきた。


レコーダーを出して、暴行されてた所を流す。


「娘の顔が写ってるわけじゃないんだ。それが、証拠になるかっ」


「なりますよ。しっかりと娘さん達の名前が出てますよ」


私が呼んだだけでなく、イジメる人達同士で、バッチリと名前を呼び合っていた。


「イジメは、娘が悪いと思います。だけど、それだけで被害届を出すなんて大袈裟ではありませんか?」


「そうよ」


「良くあることじゃない」


この親にしてこの子ありって言葉が垣間見れた瞬間だった。


「無視をしたりするのは犯罪にはなりませんが、物を盗ったりするのは窃盗罪で、相手を公然と暴言を吐くのは侮辱罪で、噂等の事実無根を悪意あって広めて相手の名誉を傷付ける事は名誉毀損罪で、相手に暴行して怪我をさせた場合は侵害罪です。医者にも行っており、診断書も証拠となります」


「...でも、よくあるっ」


「良くあることですが、犯罪なんですよ」


「...」


「私も同じ親として、子供の将来を思って庇う気持ちが分かりますよ」


父さんの声に、どこか期待をする目線をくれる人達。


「だからこそ、娘の将来を思って被害届を出しました。私の娘は命を絶とうとする程に思い詰めてましたので」


「命を...」


全員、顔色が悪い。

生徒の中で、しっかりと反省しているだろうと分かる反応も中には居た。


「ごめんなさい」


1人を皮切りに、一斉に謝りだした。


保護者も必死に頭を下げる。


「図々しいのは分かります。その他に罰を受けるので被害届だけは...どうか!!」


「ああ。少しでも償えるなら幾らでもお金を出します」


「社長っ」


「私達も大金は難しいけど...お金出します」


お金で解決しようとするのね。


「娘の気持ちを聞いてみないと分かりませんね」


一斉に、私の方に期待のこもった目線。


「反省しているの?」


「えぇ、本当にごめんなさい」


「私もごめんね」


「私も」


私はニッコリと微笑んだ。


「示談にする気ないよ?」


「何故っ!!」


「ここは、お金を受け取って、皆を許した方が貴方の人生に良いと思うよ。だから、意地にならないでね」


私にとって百害あって一利なしの担任の先生が、人生の先輩としてアドバイスの様な感じで言ってきた。


「先生は、部屋に泥棒が入られたら通報しないんですね」


「泥棒が入ったら通報するわよ」


なんて、馬鹿な担任かしら


「私もそうなんです。犯罪者を警察に突き出してるだけです」


「っっ」


「娘の気持ちもこうなんで、示談は有り得ません」


「待って下さい」


「今後の対応は、弁護士の私を通して下さい」


私達の意志を伝えて、これ以上この場所に居ても無駄なので、私達家族は椅子から立ち上がって帰る。


涙を流す保護者に他の子達も大号泣。


その場に残った弁護士のお話によると、保護者はイジメを止めなかった責任を学校側に問い詰めて修羅場だったそうだ。


未成年だから思い罰にはならないだろう。

不起訴処分になる可能性が高い。

悲しい事に加害者に優しい世の中だからね。


それでも、私をイジメた人達が将来に不安を感じて絶望すれば良いと願った。


守秘義務で守られる筈だったのに、何故か洩れてニュースとなった。


まぁ、イジメで警察に被害届を出すのが珍しいからなのであろう。


取材をって殺到されたらしいが、引越しの準備は進んでいて、あの家はもぬけの殻だった。


ただ、連日の報道で、やり過ぎではないかと意見が多々あったので、弁護士に頼んでFAXを送ってもらった。



「私はイジメって言葉が嫌いです。イジメられて凄く辛い日々でした。死にたいと思いました。そんな経験した私は疑問に思いました。何故、イジメって言葉で括られるのか?イジメを聞くと、辛くて大変な事と認識はされてますが、実体験だと軽い言葉に聞こえます。やってる事は犯罪です。社会だと罰せられて当たり前な事をしてきたのに、学校の中だとイジメって言葉で免罪符になってる気がします。イジメた側が学生だと擁護されるのならば、イジメられた私も学生です。イジメられた側からすれば、死ななければ、イジメた側に優しい世の中に感じます。どうか、イジメって言葉で軽くさせないでください。どうか、イジメという名の犯罪者が無くなりますよう、心から願ってます」


各局は、全文を放送した。

賛否両論で、まだまだイジメた側を擁護する人達も居たが、世論ではイジメられた側に同情的だった。

イジメを経験した人達の悲痛な声をそれぞれのやり方で発信していった。


テレビでは、未成年の理由で実名等の個人情報を保護していたが、ネットではそんなのは関係なかった。

それを特定する人達が居て、その能力はバカに出来ない事であった。


イジメの原因や主犯の女の親の会社を特定していた。

勿論、ネットで叩かれていた。

持ってるSNSは全て晒されて、アカウントを削除までに至った。

主犯の女の会社は、信用を失った。これからは、どうやっていけるのだろうか?

学校の先生達も晒されている。

これからの人生、どうするのだろうか?


私は、こうなる事が

だから、我が家は日本から海外へと引っ越した。


これが私の復讐です。

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それはイジメではありません 千夜すう @chiyasu_

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