あとがき

「無敵の人」という人種がいる。


 普通の人は罪を犯すと職を失い、社会的信用を失い、多かれ少なかれ「ダメージ」を負う。

 それが犯罪の大きな抑止力になっているのだが、それが「一切無い」のが無敵の人だ。




「オレは定職に就けないし、あっても日雇い単発派遣のような仕事にしか就けず、既に社会の底辺にいるのだから罪を犯したところで今更何になるというのだ?

 オレは底辺の職業にしか就けない社会的信用の無いクズだから、罪を犯そうが失うものなんて何もない。逮捕されてぶち込まれても「ただの日常の変化」にしか過ぎないし、

 むしろ警察に捕まって留置所なり刑務所なりに入れられた方が、国の税金で屋内で3食昼寝付きで暮らせるから夢のようじゃないか」と真剣に考えているような連中だ。


 そういう「無敵の人」という人間は「死刑ですら救済措置でありご褒美」となり、抑止力にならない。

「今までオレはクソみたいな人生、いや「クソそのもの」な人生を送ってきたからさっさと終わらせてくれ。

 死刑は「クソそのもの」な人生を強制的に終了できる救済措置でありご褒美で、来世では異世界に転生して勇者として暮らせるから願ったり叶ったりだ」


 と本気で思っている「常軌じょうきいっした狂人」とでもいえばいいのか、そんな連中である。




 この「無敵の人」というのは決してフィクションの話ではない。実際にいる。

 その例の一つとして2018年6月、走行中の東海道新幹線「のぞみ265号」でナタを振り回して人を1人殺して無期懲役になった奴がいたのだが、

 そいつは犯行動機で「無期懲役になりたかった」と述べ、恐るべき事に実際判決で無期懲役が出たときには「万歳三唱」をしたそうだ。




 本作はそんな「無敵の人」という人種がいる事を広く知らしめるため、

 また無敵の人になりつつある人に実際に罪を犯す前に疑似体験させてガス抜きさせるために38年と3時間をかけて書きました。

 いかがでしたでしょうか。


「無敵の人」の狂気が少しでも理解いただけたら、あるいは「無敵の人」になりかけの人が犯行を思いとどまったのなら、この作品を世に出した価値はあるなと思います。




 あと作品内で事件を起こした9人は「わざわざコロナをうつすよりもナイフや包丁やハンマーで殺した方が確実じゃないのか?」って普通の人は思うだろうけど

 実行前に職務質問されたら未遂に終わるし、それに刃物やハンマーなどの凶器で殺しちゃったら殺人罪で捕まるけど、

 コロナをうつすくらいなら「建造物侵入罪および威力業務妨害罪」にしかならなくて(これは法の限界でもある)、運が良ければ罰金刑で済んじゃう可能性もあるんだよね。

 それにコロナをうつした方が苦しんだ末に死ぬから、ただナイフやハンマーで殺すよりもじわりじわりと羽をもぎ取るように殺せるからそっちの方が満足度が高いと思う。


「ナイフやハンマーで殺すのはバカのやることだ。生きていることを、産まれたことを心の底から後悔させてこそ、復讐になるのだ」

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コロナに感謝を オミクロン株に栄光あれ あがつま ゆい @agatuma-yui

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