6LUK ラックと扉と大剣と
ぽりぽりぽり。
むしゃむしゃ。
可愛らしい茶髪の女の子がクッキーを左手に、肉まんを右手に歩いていました。
バリッ!ボリッ!!
はむ。はむ。
綺麗な美人のお姉さんがせんべいを左手に、まんじゅうを右手に歩いていました。
ドロリとした溶岩に囲まれた道の上を。
「ねぇねぇ、ミルク〜。これいつになったら着くのかなあ」
「まあまあそう焦りなさんなミイ坊。人生焦らずゆっくりじゃぞ?」
えぇ〜。と言いつつ少女は右手の肉まんにかぶりつきます。
ミイとミルクが手に持っているクッキー、せんべいその他は、第二層都市ヘキサヴィルのお店で食べ歩き用に購入した食料です。
いくらゲームと言えどお腹が空くのです。(気分的に)
「この先ホントにボスがいるのー?」
「いるいる。絶対いるよ。……多分」
「多分って……」
ミイとミルクが歩く道は、第二層ボス戦の戦場へと続くと言われている道です。
ミイとミルクは、『やるからには頑張って攻略!』という目標を掲げ、どんどんとゲームを進めていきます。
そして、いつまでも続く溶岩に囲まれた道とその空気は灼熱です。熱いです。
「あ!ミイほらあれ!」
「わ!!ホントにあった!」
目の前に現れたのは、ドドーン!と擬音が着きそうなほどでかい巨大な扉でした。
とてもでかく。とても重たそうです。本当に開くのでしょうか。
「ミルク、これって本当にあくの?」
「あくあく。絶対開くよ。……多分」
先程と同じようなやり取りが始まりました。
「とりあえず押してみようよ」
と、ミルクが提案して2人でドアを思い切り押します。しかし両扉の扉は、開くという言葉を知らないようです。ビクともしません。
「わかった!きっと何か開ける方法があるんだ!」
誰もがわかるような発言をミイが大声で叫びました。
「うーん、でもどうやって……」
「「…………」」
数分後。
「あ!わかった!ミルク!私閃いちゃった!!」
「え!?なになに!?」
ごにょごにょ。誰も聞いていない筈なのに2人はヒソヒソと会話をします。
「そ、それだぁー!!」
ミルクは称賛の声をあげます。
ふっふっふっ。とミイは親指を立てて、グッ!としています。
「じゃあいくよ!」
「
黒い球体が扉の中心部に現れます。そしてそれは扉を貪り尽くしていき、大きな丸い穴を開けました。
「おおー!ミイすごいね」
「やったぁ!」
2人はハイタッチを交わします。
そして出来た穴に2人で入っていきました。
しかし2人は気づいていませんでした。
扉の上部に、
【この扉はダンジョン内に隠されている『ボス部屋の鍵』を入手しないと入れません】
というタブが現れていることに。
これは幸運というレベルではありません。もはやバグです。バグをも味方にしてしまいました。
***
部屋の中はとても暗く、ほとんど何も見えません。
そして急に明かりが着き部屋が溶岩の様に赤黒く染まっていることがわかりました。
「な、なにがくるの!?」
ミイはぶるぶると震え、氷結の桜こと、ひーちゃんを鞘ごと抱きしめます。
「大丈夫。落ち着いて戦えば勝てる!」
そしてついに、ボスが姿を表しました。
ドンッッッ!!!と大きな音と共に炎を纏った巨大な剣が地面に突き刺さりました。
そしてその剣の上に文字が書かれています。
【
「ひぃぃぃぃ!!剣が相手なの!?!?」
ぶるぶるとミイはさらに強く体を震わせます。
そして剣は中に浮き、その刃をミイとミルクに向けます。そして高速とも言える速さで空気を裂き、既にその切っ先は──。
「え──」
ミイの目の前に迫っていました。
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