5LUK ラックと射出と召喚と
散ったポリゴンは毎回のごとく宝箱になりました。
ミイはそこまで走り、宝箱を開けます。躊躇いがありません。
宝箱には
「すごーい!!」
ものが入っていました。
ミルクもそちらへと来て中を見てほほう、と頷きました。ちょっと嬉しそうです。
宝箱の中身は剣と杖でした。
「ミルクは杖でいいよね?」
「もち」
2人はそれぞれのものにした武器をタッチし、タブを開きストレージに送ります。
ミイの剣は【フルンティング】ミルクの杖は【ヴァナルガンド】どちらも強そうな名前です。
すると、奥の扉が開きました。
ごごごごご……
2人は一緒に中に入ります。
「なにもないね」
「ね、なんだろここ」
そう言いミイとミルクが辺りを見回していると、2人の前にはタブが現れました。
「うわ!」
「ん?」
ミイはビックリして、変なポーズで構えています。ミルクはいつもと変わりません。
タブには、[新しいスキルを獲得しました]と書かれています。
ミイは
【
効果:英霊、モンスター、神を召喚、憑依、騎乗することができる。魔力消費なし
ミルクは
【
効果:武器を召喚し、射出、使用することができる。魔力消費なし
「強そうだ!」「おおー」
2人が声を上げると急に目の前には像が現れます。先程のものとは違いキリッとしたような顔立ちです。先程のものはなんというか……オジサンくさかったです。
「また戦闘!?」
ミルクが少しイラついたようにそう言います。
すると、声が聞こえてきました。
「汝に力を与える」
像の目が青白く光っています。
すると再び2人の前にはタブが現れます。
ミイは、【
ミルクは、【
それだけしか書かれていませんでした。よく分かりません。
それだけ言って像の目の光は消え、亀裂が入ります。
ピシっパキパキっ
そうして、
だごぉん
音を立てて壊れてしまいました。
***
夜、月が輝いています。現実とは違う紫色に煌々と。
第二層都市ヘキサヴィルの外、草原、2人の少女とお姉さんは5人の男たちと対峙していました。
そこにある全ての顔には見覚えがあります。2人の女の子はモチロンのこと、その他の5人の男たちはいつかの5人組です。
「ヒヒヒ、また会うなんてなあ、さて、オマエら次は負けらんねえぜ」
男の一人がそう言うと、
「オラァ!!!」
3人の男が走ってきます。
しかしミイとミルクは冷静です。2人は今までの戦いで戦闘では冷静になることを覚えたようです。
「あ、ねえミルク、さっきのスキル使ってみない?」
「いいねえ!使ってみようか!」
ミイは、
「コネクト!!」
そう叫びました。すると、
「ありゃ?」
何も起こりませんでした。
「おおお?どうしたァ」
男たちは走って近づいてきています。だんだんとではなくぐんぐんと距離は短くなってきています。
「ひゃあぁぁーー!!」
ミイは叫びながら逃げ回ります。先程の冷静はどこに行ったのでしょうか。
転びませんように転びませんように転びませんように転びませんように!!
心の中で祈っています。
全速力で走ります。
そのころミルクは、
「インジェクション!!」
叫びました。
するとミルクの後ろに1つの赤色の魔法陣が現れました。
地面と平行ではなく垂直です。
まるでミルクの後ろのには透明の壁がありそこに魔法陣が張り付いているようです。
そしてそこからは見覚えのある1つの剣が出てきます。
刀身は水色です。そう、ミイの氷結の剣ことひーちゃんです。
そしてそれは、
ビュウンッ!!
風を勢いよく切って立ってこちらを睨んでいる男一人に向かって飛んでいきました。刃を先にして。
男はそれに反応できずに体で剣を受け止めます。言葉どうりに。
「げはっ」
心臓に一刺し。この男は前もミルクのスキルで心臓を刺されて死にました。
即死コース(2度目)です。
何が起こったかわからなかったリーダーのような男が
「な、て、てめぇ!」
走ってきます。
そのころミイはまだ走っていました。
どどどどど、どうすればいいのぉ!?えっとどうしようどうしようどうしようどうしよう!!!!あ!石像にもらったスキル!!
「レジェンドナイツ!!!!」
すると、ミイの前に1人の男が現れます。金髪です。顔は見えません。背が高く鎧を着ています。いかにもという騎士さんです。
そして何も言わずにミイに背を向けて
「がっ」「え」「ぎゃ」
3人の男を一瞬で斬り殺して光の粒子になって消えていきました。
「あ、あれ?今のなに??」
ミイは何が何だかやくわかりませんでした、
そのころミルクはもう一度ひーちゃんを射出してリーダーを刺殺しました。
ミイはミルクのところに駆け寄ります。
「ミルクー!!大丈夫だった!?」
「それはこっちのセリフ!」
ミイの足元にはひーちゃんが転がっています。
「あれ、私の剣?」
ミイは腰を触ります。剣はしっかりとあります。
じゃあこれは……
「どお?これが私の新しいスキル!」
すぐにミルクが解説をしてくれました。
***
街のカフェのようなところで一夜を過ごしました。
そして朝になりました。
つまり、ミイがゲームを始めてから50時間ほど経過したということです。
そしてそれはリアルの1時間です。
「じゃあミルク、今日はここら辺で」
「そうね、じゃあ落ちよっか」
***
リアルの朝、ミイこと椎名 美咲は学校に向かう途中でした。
「みさきーー!!」
呼ぶ声が聞こえます。声の方を振り向き、
「おはよ!ミル、じゃなくてクルミ!」
「で、みさき、どうだったかね、クリスタルオンラインは!?」
「すっっっごく楽しかった!!!ありがとうクルミ!」
「どういたしまして〜、てかみさきリアルでバーチャルと間違えないようにね、さっきみたいに私のことミルクって呼んじゃたりさ」
「あははー」
「アンタはおっちょこちょいなんだから」
ぐちゅ
美咲の足元で変な音が聞こえました。
靴の下には犬のフンがあり、それを真上から美咲の靴は踏み潰しました。
「もぉぉーー!!」
やはり、リアルでは運がないようです。いや、ある意味『うん』はあるのですが。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます