不運な私は全てラックに任せます!〜不運女子高生はゲームでラックに極振りするそうです〜

きむち

1LUK ラックとゲームとモンスターと

現実とは似ても似つかない世界の街中に可愛らしい顔立ちをした少女と、美しい顔立ちをした女性が立って話をしていました。


「ミルク、次はどこに行くの?」


少女の質問に対して


「そうだなあ、ダンジョン攻略でも行こっか!」


女性はそう答えました。



***



高校2年生の椎名しいな 美咲みさき。黒髪のショートヘアの少し背が低い可愛らしい女の子です。


「ねえ、クルミ、私ってついてないってと思わない?」


同じく高校2年生の浜辺はまべ 来未くるみは美咲に答えました。ちなみに来未は艶のあるロングヘアーのいかにも女優にいそうな整った美しい顔立ちをしている高校生です


「アンタは昔っからそうだよねー、なんでなんだろ」


美咲と来未は小学生からの幼なじみであり、親友であります。


「朝の登校してくるときは鳥のフンが頭に落ちてくるし、バナナの皮ですべって転んで、長い学校が終わったと思ったら先生の手伝い、まあそれは来未も手伝ってくれたからいいんだけど、それでさっき買ったアイス地面に落としちゃったし…漫画の世界なの!?」


「アハハ…」


美咲の言葉に来未は困っているようです。


「あ、そうだみさき!ゲームってやったことある?」


「え、ゲーム?少しだけなら…」


「フルダイブ型MMORPGって知ってる?」


「ふるだいぶがたえむえむおー?って、なにそれ?」


フルダイブ型MMORPGとは、


「えっとね、最近のゲームはすごく発展してきてるんだ。VRシステム、えっと!ヴァーチャルリアリティーってやつね。それがまた凄くてさー!!」


と、話すこと3分後……


「なるほど!すごい面白そう!!」


美咲はフルダイブ型MMORPGに完全に惹き込まれていました。


「でしょー!?」


「でも、私機械持ってないよ?」


来未がふふふーんと、鼻を鳴らします。


「なんと!?」


「なんと?」


来未の言葉に美咲も合わせます。


「なななんと!!」


「なななんと!?」


焦れったいです。


「プロネンス(VRゴーグルの名前)を2台もってまーす!!」


来未の発言に美咲は当然のように驚きました。


「ええええ!!!!」


「しかも、」


話は続いていたようです。


「し、しかも?」


来未の言葉に以下略


「しかもそれをあなたに1台プレゼントしちゃいまーーす!!!」


「えええええええ!?!?」


驚きます。とても驚きます。


「く、クルミ、ホントに!?」


「私が嘘をついたことがあるかね?みさきくん」


来未の発言に美咲は


「……いっぱいある」


「あ、あはー……」


「……」


沈黙でした。


「ま、まあ、みさき!これから家に取りにきて!」



***



「わかった、じゃあこのー……く、くり?クリスタルオンライン?ってやつをこの機械に挿せばいいんだね?」


『うん、そーそー。それで目につけて電源を入れれば準備完了!夢の世界にいってらっしゃーい!!』


スマートフォンからは来未の声が聞こえました。


「わかった、じゃあ待っててね」


そう言って電話を切りました。


ちなみにクリスタルオンラインとは、VRシステム、プロネンスの有名オンラインゲームの一つです。


美咲はクリスタルオンラインの小さなカセットをプロネンスに挿しました。


来未はクジの景品で[プロネンス・クリスタルオンラインセット(限定版カラー)]を2台当てました。なんという運の良さでしょうか。美咲とは大違いです。


美咲は小さなキレイな箱のようなプロネンスを装着しました。


ベッドの上で寝っ転がっています。説明書にねて使えと書いてありました。


「これで、電源スイッチをおすんだっけ?」


既に目の前は小さな箱の中の真っ暗な景色しか見えていませんので、手探りでスイッチを探しました。


「うーん、あ、あった!」


カチッ、気持ちのいい音がして、意識が一瞬飛んだような感覚がしました。


自分の記憶上、意識が飛んだり、気絶したことがある覚えはありませんが。


そして目の前には既に現実世界とはかけ離れた景色が広がっていました。


そこには大きな噴水があり、広場のようになっていました。そしてたくさんの人が行き交い、喋り声が聞こえました。


ちなみに、その全ての人がオンラインでプレイしているユーザです。


空はキレイな青色、背の高い建物や、低い建物が周りに並んでいます。


その全てが木でできているのでしょうか。ですがその全てがとてもカラフルです。しかし、やはり木の温かさと、木目のようなものが見えます。


「うわあ!!!すごーーい!!!!」


叫んだそのとき、変な音が聞こえました。『フォイーン』と。とにかく聞いた事のないような変な音が耳のそばで聞こえました。


すると、目の前にタブが現れ。


[プレイヤーネームを決めてください]の文字が書いてありました。


「ああ!そうか!名前かあ!」


うーん、どうしよう。


「じゃあ、みさきだから、ミイ!」


〘ミ〙〘イ〙と、一文字ずつカタカナで打ちました。


「これでオッケー!」


美咲、いえ、ミイはタブの完了と書かれたボタンを押しました。


するとポンポンと肩を叩かれました。


振り向くとそこには美人なお姉さんが立っていました。


「やほー」


お姉さんは挨拶をしてきました。


「こ、こんに、ちは。だ、誰ですか?」


ミイの問にお姉さんはあはは、やっぱりわからんか。と呟き。


「クルミだよ」


と、耳元で囁きました。ミイは一瞬だけ脳が停止しました。


「え、クルミ?」


「そう、まあこっちの世界ではミルクだけどね。クルミを逆から呼んでミルク」


とても簡単な名前でした。あちらから自己紹介をされたからには、ミイもしなくてはなりません。


「私はミイ!みさきだからミイ!よろしくね!」


しかしミイは不思議だと思うことがありました。


なぜミルクはミイのことをみさきだとわかったのでしょうか。ミルクがクルミとは雰囲気が似ていたとしても、顔は違います。とても美しいです。憧れます。こちらの世界でも美しいとはいったい彼女はなんなのでしょうか。


ならばミイもみさきとは顔立ちが違うはずです。


「ね、ねえ、ミルク?なんで私のことがわかったの?」


ミルクはだって、と言い、笑いながら続けました。


「あんたさっき、自分でみさきだからミイ!って名前決めるときに言ってたでしょ?」


「ああー!!」


そっかー!なるほどね。


すると目の前に先ほどと同じようなタブが音と共に現れました。


そこには[ステータスを割り振りしてくだい。〖ステータスポイント残り30〗]と書かれていました。


ミイはステータスというものがなんなのかわかりません。


「ねえ、ミルク、ステータスってなに?」


「うん、そうだなあ、まあ、キャラクターの性能って言えばいいのかな?5つそこに文字が書いてあるでしょ?まず…」


そこにはSTR、VIT、AGI、DEX、LUKの字が書いてあります。


ちなみに、STRがゲーム全般の中の力量、VITが防御力、AGIがキャラクターの速さ、俊敏さ、DEXが器用さ、これは弓などの遠距離攻撃を専門にするキャラクターが多く必要とするものです。LUKが運です。


一連の説明をミルクか終えると。


「なるほど」


と、ミイは頷きました。


「私はバランスよく全体的に振り分けておいたよ」


ミイは考えました。


私、現実世界で運がないんだから、ゲームの中で運を開花させてやろう。と。


そしてミイはLUKと書いてあるところを指で何度も押しました。


押す度にスキルポイントが減っていきます。ぐんぐんと減っていき、0になりました。


LUK値が30になりました。俗に言う極振りです。ほとんどの人がしないであろう仕方の極振りです。LUK値に極振りする人はなかなかいないでしょう。


「けってーい!!」


それを見ていたミルクはとても驚いていました。


「み、ミイ?ほんとにそれでいいの?今後のキャラクターの性能に関わるんだよ?」


それにミイは


「うん!!」


と大きな声で返事をしました。


~現在のステータス~


STR:0

VIT:0

AGI:0

DEX:0

LUK:30



ミイは笑顔でした。



***



ミイの職種:剣士

ミルクの職種:魔法使い


ミイとミルクは街の外にある森に来ていました。


ミイは剣を構えています。ミルクも同じく、杖を構えています。


2人の前にはモンスターが6体いました。


「ミイ、初戦闘だね、いくよ!」


「うん!」


と、ミイは良い返事をしたものの、戦い方を全く知りませんでした。無知です。


ミルクは魔法を唱えました。


「ファイヤーショット!」


いつ覚えたのでしょうか。彼女もこのゲームをやるのは初めてのはずです。


火の玉が杖の先端部分からから現れ、緑色のスライムのモンスターに命中しました。モンスターは即死、ポリゴンになって消えていきました。


ミルクはすごいなあ。私も頑張らなきゃ!


ミイはモンスターに向けて走り出しました。走った先には石が転がっており、ミイはつまづき、転倒しました。


「あべっ」


その衝撃で剣がミイの手から離れ、飛んでいきました。モンスターの方向に。その剣は近くにいたモンスター2体に綺麗に斜めにぶしゅっと音を立てて突き刺さりました。串刺しです。


剣が突き刺さった2体のスライムたちはポリゴンになって消えていきました。


「ミイ!すごい!けど大丈夫?」


ミイは


「あはは、大丈夫」


と、倒れたままミルクに顔を見せて言いました。


「ミイ、あと3体、がんばろ!」


「うん!」


ミイは落ちた剣を拾い、再びモンスターに向けて走り出しました。次は木の根につまづいて顔から転倒。


「ぐべっ」


しかしそこはスライムの液体が広がっておりヌルヌルしていました。ツルツルと滑ります。しかし、ミイは絶対に剣を手から離しませんでした。


つまり、うつ伏せのままミイは剣を前に突き出して滑っているのです。とても危険です。運良くモンスターの方へ真っ直ぐに滑っていき、3体のモンスターを横から串刺しにしていきました。


ぶしゅっぶしゅぐちゅ。


「み、ミイ……」


ミルク驚きを通り越して呆れていました。


こうしてミイとミルクの初戦闘はミイの運によって勝利しました。

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