概要
「ねぇ、沙知子さん。貴方の好奇心に、僕は飼い殺されてるんですよ」
良家の一人娘である沙知子。そして彼女を妻にしたいと訪ねてきた謎多き美男子、湊人。
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『見れば見るほど妖艶とか、美麗とか、わざとらしいほど飾り付けられた言葉が似合う男であった。こういう言葉が似合う人間は、それに見合うほどの眩い容姿とともに、その言葉をジュエリーにしてもゴテゴテしない、余白のようなものがあるのだと知った。』
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「この扉は絶対に開けないでください。そこは僕にとっての背骨の裏側です」
「背骨の裏側?」
沙知子が聞き返せば、湊人は大切なものをハンケチーフで包むようにそっと囁いた。
「ええ」「誰にも触ることのできない、絶対不可侵の場所なんです」
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「貴女が他の人に目を向けると、僕は魂が燃えてしまいそうになるんです。……心臓は既に、貴女に奪われてしまいましたから。でも
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