両手一杯の花を君に。どうか手を伸ばして、あなたの想いを伝えて。

故郷を失い地球に現れた異種生命体。彼らの宇宙船が突如現れ、その日から戦いが始まった。
フラワーショップの店員だった蓮太郎は、ある日突然、かの生命体が乗るロボットを模して造られた「人形戦闘機・デアクストス」のパイロットに選ばれる。
ただしデアクストスを動かすには、「魔女」と呼ばれる女性が必要なうえに、更なる非情な条件が他にあった。

蓮太郎は花屋で働いているので、フラワーアレンジメントをぱぱっと作ってしまいます。
ある出来事のせいでパイロットを辞め、再び花屋をすることになり、「あやめ」という魔女と心を通わせるようになります。

この物語には多くの花が登場します。
大好きな人に贈りたい花。亡き人に捧げる花。いつもそばにいてくれた大切な友人への花。
そして、今一番、私の気持ちを伝えたい――彼らへ。

敵となる異種生命体の目的はわかっているが、彼らとコンタクトをとる方法が皆無。
だからこそ、ラストの展開は目を離せず、食い入るように読み耽ってしまいました。

作中に登場する某研究者の二人が、個人的に贔屓キャラです。
魔女として乗り込む女子と蓮太郎のやりとりもほほえましく、それが戦闘で受けた心の傷を癒すようで、緩急ついた物語の構成も秀逸です。
やっぱり主人公はこうあってほしい。そんな素敵なお話でした。

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