男尊女卑の世界で紡がれる純愛ストーリー

ファンタジーですが、大正や昭和あたりの日本を感じます。
女は結婚し子供を育てることが義務であり、夢を追っても、風習に絡みとられた現実の前には萎れてしまう。
そんな息苦しい世界で、美和は聖獣である蒼翼の婚約者となります。
美和は幼さゆえに恋を知らず、蒼翼の想いに気づかないじれったさがなんともたまりません。
戦争が暗い影を落としますが、登場人物たちの一途さや不器用なほどの純情さが物語に美しい色を添えます。
人生とはこんなものだと諦めた大人とは違って、若い彼女たちは現実とうまく折り合いをつけながら、自分の幸せを見出していく。
明るさと爽やかさ。そして、恋したからこその優しさと強さを感じる物語です。

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